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第17話 長友という儀式

空から見る景色はいいものだ。芝生の丘が見えて高校時代の友達が二、三人いる。その人達に手を振った。
大学の知人がちらりと見えたのでその人に会いに行った。知人は知人の父と一緒にいて、カンガルーの霊についてどうこう言っている。知人の父は霊列車に乗せてくれると言うので期待して付いて行った。行ってみたは良いものの単なる下り電車だった。

霊列車だからか知らないが、おじいさんが手相を見てくれて何とかという線が五本あるから気を送ってやろうと話を持ち掛けて来た。五百円かかるらしいので少し迷うが、結局気を送ってもらうことにした。
気を送ってもらうと足の付け根と腸の辺りに何かが使えてとても苦しい。苦しくて目が開けられないので恐怖心が込み上げて来る。目をつぶっているとビデオ映像が見えて来て、子ども達がお遊戯をしている様子が見えた。どうやらそのお遊戯は「長友」という儀式らしい。
「ずいずいとかにくこねくにはー♪」
子ども達は一心に歌っているが、私はそれどころではないほど苦しい。気を送られて苦しくなるのは自分の心が邪悪だからかと考えた。丁度つぼ押しと同じ要領で痛い所は病んでいる箇所なのだろう。おじいさんは白い髭と作務衣を着ていて目がきついが、表情を見て知人の父の姿が思い浮かんだ。知人の父は赤いワイシャツで髭面なので、つまりこのおじいさんと親子なのだろう。

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