第35話　小平市のキリン

小平市にはキリンがいた。二頭のキリンは高い木の葉を食べている。キリンは遠くの方にいる様で、建物や家の向こう側に頭だけが覗いているが、距離の割に大きく見える。だいたい日本にキリンがいると思わなかったから驚いた。近くに行ってみようと思い、友達と三人でキリンの方へ向かう。

人だかりができており、どうやらお祭りが始まっている様だ。近くまで来ると家や人に隠れてよく見えないが、人混みが二つに別れキリンが車に乗ってやって来た。車は横倒しになっており窓からキリンが出ている。車はそのままスーッと走っているが、どういう構造になっているかはわからない。画期的な走り方ではないか。

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帰りには会いたくなかった友達に会う。彼は体を不自由にしてしまった様で、競技用の車いすに乗り傘を手に縛り付けている。

「本当は大丈夫なんだよ。」

スネている彼はそう言いながら無理して階段を上って行った。