油絶ちではアトピー性皮膚炎は治らない 〜 アトピー治療で"やめた"こと(5)
「油絶ち」もよくアトピー性皮膚炎の治療法として挙げられます。"悪い油"がアトピー性皮膚炎の悪化の原因となっているため良い油に変えようという療法です。
"悪い油"を断つという健康療法
"油"というと様々な意味がありますが、食事の文脈では油脂(液体の油と固体の脂肪)が取り上げられます。
健康影響として油脂の構成要素である脂肪酸が注目されます。おおまかに下図のように分類されます。
"悪い油"は、オメガ6系の脂肪酸を含み、炎症を起こしやすいとされます。
"良い油"は、オメガ3系の脂肪酸を含み、抗炎症作用があるとされます。
それぞれが含まれる食品例は次の通りです。
油絶ち治療の考え方は、免疫過剰となり炎症を生み出すオメガ6系の植物油を控えて、オメガ3系の脂肪酸を摂ることでアトピーが改善するというものです。
プラスを求めずマイナスを避ける
この"悪い油"を避ける方法もまた、私には効果がありませんでした。
私は和食中心の生活を元々していましたし、それでアトピー性皮膚炎が目に見えて改善したということもありません。多少の効果はあったのかもしれませんが、アトピー性皮膚炎が楽になったと言えるほどの変化がわかりませんでした。
人によっては効果が非常にあったという方もいるかもしれませんが、油を減らしたせいで身体が乾燥してしまい逆に悪化してしまったという意見を見聞きしたりもします。
これは、摂りすぎも良くないし摂らなさすぎもよくないという「程度の問題」だと個人的には思っています。
アトピー性皮膚炎が酷く悪化してしまうほどの量を摂っている場合は、健康的な範囲に収めるように油を減らすことは有効かもしれません。
ただ、油を変えるだけでアトピー性皮膚炎の完治まで求めるのは期待しすぎではないかと思います。
本当に "悪い油" だけがアトピー性皮膚炎の原因なのだとしたら全国民がアトピー性皮膚炎になっていてもおかしくないと思うのです。
現代で"悪い油"をすべて回避するのは困難
現代のほとんどの加工食品には上記の「悪い油」が含まれています。仕事もしている現実生活の中で、食べられるものをほとんど制限されているのは苦労します。
現実的に実行できるか、それを継続できるかはとても重要だと思います。
みるみる効果が出ているのであれば自ずと「続けよう」「続けたい」と思う力学が働きます。
ですが、効果が小さいと自分の忍耐力・精神力の問題となります。
そして、その状態での継続はストレスを溜めることになりアトピー性皮膚炎が悪化する可能性もあります。費用対効果がとても悪いと思うのです。
アトピー性皮膚炎対策はストレスと制限を積もらせる
もちろん簡単にできるものであれば積み重ねとしてやらないに越したことはないと思います。
こういった療法は「効果は人による」という以上のものではないと私は思っています。
そして、効果がそれほど感じられなければやめてしまって問題ないというのが私の経験上の考えです。
自分の生活にさまざまな制限を課してアトピー性皮膚炎を治そうとしていくのは、「チリも積もれば山となる」という考え方が前提になっています。
それは同時に生活の制約と生活ストレスも積もらせているというマイナスを考えた方がよいと私は思っています。
たとえば「タンパク質を取りすぎると消化できなかったものが免疫の過剰反応を起こしてしまうので卵・牛乳・肉を食べない」など、食事制限でのアトピー療法は巷にたくさんあります。
ですが、こういった食事療法をすべて積み上げてアトピー性皮膚炎を治そうとすると、どんどん食べる物がなくなってしまいますし、それは継続可能な治療ではないと思うのです。
もちろん、昔に比べて現代では、その人の身体にとっての異物となる物質を摂取する機会も増えていますし、単純に食べる量が多すぎる、過食になっている可能性もあるのだと思います。
大事なのはバランスで、摂りすぎも摂らなさすぎも良くないと考えた方がよいと思っています。
アトピー性皮膚炎の治療は費用対効果で考えてよい
油がアトピー性皮膚炎をそこまで酷くするほどマズい物質なのであれば、摂取を止めればすぐに明確な改善効果が出るはずだと私は考えました。
私は長くても1ヶ月で明確な効果が出なければやめてもよいという自分ルールを課して、試行錯誤しながらアトピー性皮膚炎と戦う生活をすこしでも楽にしていました。
効果がはっきりとしないのであれば、それは自分のアトピー性皮膚炎の主原因ではないと考えるようにしました。
自分にあった治療を見つけることが大事であり、無理なく続けられることを重視してよいと思っています。
油に関して言えば、身体を壊さないバランスを目指すだけでよいのではと思います。
アトピーの根本原因と治療方法について
アトピー性皮膚炎の根本原因を科学的・論理的に解説しています。こちらもご参照ください。
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