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#恋愛小説が好き

恋愛小説への愛や、好きな作品・作家を語ってください!

人気の記事一覧

空色のダイヤモンド

 世界には空に穴の空く場所があって、その穴の中には空色をしたダイヤモンドが眠っている。  だからおれはそのダイヤを掘りに行かねばならない。  あなたはそう言ってこの街を出ていった。もう十年前のことになる。  十年前というと、わたしはまだ女子高生で、あなたの話す夢のようなホラ話を無邪気に笑って聞いていられる年頃だった。  百匹のテントウムシがスズメバチを撃退する話とか、示したところを掘ると必ず財宝が出てくる、賢い犬の話とか、人の影を食べて生きる恐ろしい怪人の話とか。どれもこれも

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居眠り猫と主治医 ⒈不養生猫 全33話 目次 リンク有 完結済み 連載恋愛小説

あらすじ 愛鳥のかかりつけ医を求め、動物病院ジプシーぎみの守屋文乃。動物の扱いが異様に上手い、すわゴッドハンドかという獣医師、夏目祐にたどりつく。 家庭環境の影響から自己肯定感が低めの彼女は、クリニック患者たち(飼い主)との交流会が、安らぎの場になっていく。 体内時計が乱れがちで、とくに食事がおざなりになっている文乃は、オカン並みの料理の腕前を持つ祐に胃袋をつかまれる。 彼のそばにいると、なぜか安心してぐっすりと眠れるのだが… とある理由で、親密になればなるほど文乃は追

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今日の私の写真です😊。 素敵な恋がしたいです。 誰か私のこと、好きになってくれないかなぁ💝。素敵な男性との出会いがあるといいなぁ😊。 私のこと、気になった方は、お手紙くださいね😄。

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カメリア~紅蓮~

■前回までのお話はこちら■本編「椿、着替え終わったか」  ノックもせずに扉が開けられ、その向こうには着物姿で腕組みをした父が立っていた。椿はその無作法を咎め立てする元気もなく、ベッドに腰かけたまま、「まだだけど」と仏頂面で答えた。ベッドの上には過剰なまでにフリルのついたどぎついピンクのドレスワンピースが広げられていた。  父はため息を吐くと、「先方がお待ちだ。急ぎなさい」と言ってドアを閉めようとした。 「今のお父さんを見たら、お母さんは何て言うかな」  矢島家から贈って寄越し

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便利屋修行1年生 ⒈致命的な欠陥 目次 リンク有 連載恋愛小説 全24話予定

新しい職場は、一風変わっている。 綾が所長室に足を踏み入れると、先客がひとりいた。 ウチの主力には決定的な欠陥がある、との事前情報が頭をよぎる。 この人のことだと、ひとめでわかった。 「ほかにいないんすか。秋葉とか」 面倒そうに目を細め、彼はスマホを操作中。 「ちょうど出払ってんのよー。頼むわ」 こちらに目もくれず、綾の頭上あたりで会話が展開される。 試しに自己紹介をはさんでみたが、おもしろいくらい完全にスルーされた。 所長がほらね、とばかりに苦笑する。 優秀な人ほど気難

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短編 | 続編はない

 久しぶりに研修があり、入社式以来はじめて同期生が一堂に会した。 「いや~、短い間会っていないだけなのになんか懐かしいですね」 「そうですね。まだ最後に会ってから1ヶ月も経っていないのにね」  はじめて彼に会った時は、仕事を覚えることに一生懸命だったから、恋愛なんてまったく考えていなかった。ちょっとカッコいいな、とは思っていたけれど。 「どうですか?配属された部署の雰囲気は?」 「はい、私は研究職なので直接お客様との接点はなくて。同僚も先輩も男性ばかりです。理系の女

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【毎週ショートショートnote裏お題】真夜中万華鏡

 真夜中、妖怪小豆あらいは一人の少女と出会った。  少女はうずくまって泣きそうな顔をしていた。  みると足を挫いている。  小豆あらいは、少女を背負い、家に送ってやった。  少女は何度も御礼をいい、庄屋の家の門をくぐった。  それ以来、小豆あらいは胸が苦しい。  妖怪と人間、しかも庄屋の娘、叶わぬ恋であることは重々分かっていた。  それでも止められない。  深夜、人目を忍び、逢瀬を重ねた。  それは真夜中万華鏡のように一刻一刻が夢のように煌めいていた。 「会うのを最後

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桜のしおり 春弦サビ小説

バンとドアを開け、彼女は本棚に一直線。 文庫本を取り出し、僕に突きつける。 そのページに僕の心を閉じ込め、ケンカの際には切り札にする。 その色褪せた桜の栞に魔力が宿っていると、志桜里は信じて疑わない。 これだから、かなわない。 僕はだらしなくゆるみそうになる頬を引き締め、彼女に告げる。 「うん、好きだよ。僕のほうがずっと」 (おわり) 春弦サビ小説に参加いたします スズムラさんのかわいらしい歌詞「ハートの栞」からインスピレーションをいただきました ありがとうございます

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便利屋修行1年生 ⒉キケンな任務 連載恋愛小説

キケンな初任務と所長に聞かされていたのだが、要は不用品回収だった。 巨大な倉庫に冗談かと思うほどモノが詰め込んであり、何年もさわられた形跡がない。 天井スレスレまで積み上げられた荷物に素人が下手に手を出せば、大雪崩を引き起こしそうだ。 ひとつずつビニールシートに移動させ、売却できそうなモノと廃棄組を仕分ける。埃まみれになりながら、いったい何時間かかるのかと、気が遠くなる。 「そういう資格あるんですか」 愚問だったのか、当然のごとく返事はない。 沢口は玄人っぽい目つきでなに

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幽世電車

 智臣は走っていた。  真夏のアスファルトの上を、息を切らし、頬を伝って流れる汗を拭いながら、線路沿いの道をただひたすら。  ぎらつく太陽の光が追い立てるように智臣の背を焼く。その熱が背中を中心に全身を走り、体温を、それどころか血の温度さえぐつぐつと煮立つように高めている気がした。  制服のスラックスとワイシャツは走るには窮屈だ。智臣は第二ボタンまでシャツのボタンを外し、息を吐いた。  高校の数学の授業を抜け出してきて二十分、走り通しだった。中学時代は陸上部だったとはいえ、高

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紫のふわふわ妖精 色のある風景

ある日、要請が入りました。一緒に暮らす男性を追い出してほしいと。 結衣は依頼者のもとに赴き、観察することにしました。 彼女の持つ色は、真紅。カリカリイライラしています。 一方、彼のまとうオーラは蒼。海のように凪いでいます。 対照的なふたりには、これしかない。 *** 結衣はバッグから専用マシンをひっぱり出し、スイッチを入れました。 同じように目を丸くしているふたりには説明すらせず、結衣は集中モードです。 割り箸を差し入れ、くるくると器用にまっしろな雲を巻きつけます。 持

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想いが深くなった男

昔々、あるところにフラレタがいた。 フラレタは、適当だった。 彼女の話を聞かない。 彼女を理解しない。 そして、わがまま。 彼女は耐えた。 何度も何度も。 もう限界だと思った。 ……別れよ。 フラレタは目覚めた。 もう適当はやめた。 想いを深くしなきゃ。

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有料
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居眠り猫と主治医 ㉘夏目先生のお料理教室 連載恋愛小説

次の日、スーパーに寄って手巻き寿司の材料を買いこんだ。 「あ。初デートだ」 「どこが」 昨日の彼はどこへやら、すっかりクールな夏目祐に戻ってしまっている。 おぼつかない手つきの文乃に業を煮やし、祐が包丁を取り上げた。 「刺身があとかたなくなる」 刺身包丁でなくても二回に分けて引くように切るといいと、職人技を見せてくれる。 文乃は卵焼きをねだって、その魔法のような箸さばきに目を丸くし、料亭並みの味だと絶賛した。 *** 満を持して、得意料理を披露する。 こころを救ってくれ

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便利屋修行1年生 ⒐朝焼けの接触 連載恋愛小説

「素行調査って…この人部屋出ないですけど」 張り込みと聞いて綾は意気込んでいたのだが、実態は1日中対象者のマンションをのぞいているだけ。 巻かれないように尾行とかするのかなー、とワクワクしていたのだけど。 「引きこもりの度合いを見ろってことだろ」 夜中に動きがあった。女の人が訪ねてきたのだ。 「リア充ですかね」 「店の人間はいなさそうだな」 沢口いわく、派遣サービスの人間なら車が待機しているとのこと。 これは、仮眠なんか取っている場合じゃない。 なぜそんなに楽しそうなのかと

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便利屋修行1年生 ⒏獣と会食 連載恋愛小説

いったい前世でどれだけ徳を積んだのかと、秋葉に真剣に聞かれてしまった。 「オレが腹こわしたって、あっそ、てなもんですよ」 「一緒にすんな。高級和菓子をセレクトするようになってから、出直せ?」 まどかは和菓子マニアらしく、小躍りして喜んでくれた。 「ツボ押さえてくるわー、このコは」 今日は沢口が見当たらない。 「あいつ甘いもの受けつけないから、私がもらっとくー。だれが強欲だ、秋葉」 *** なにかの調査活動にかかりきりだったらしく、3日後にようやく姿を現した。 ソファに寝

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居眠り猫と主治医 ㉕狙われた獣医 連載恋愛小説

すべてを遮断する気でいたけれど、里佳子とは何度か会っていた。 彼女も夏目祐のゴッドハンドにひれ伏したクチで、あっという間に意気投合した仲。そういう人との絆は、切っても切れない。 「ルリルリ元気ですか?」 彼女のインコはマメルリハという種類で、鮮やかなブルーの美女だ。 「ちょっとそれが聞いてよー」 英国王室御用達の超高級シードを買ってみたところ、愛鳥はそれ以外受け付けなくなったという。 「もー、破産。オーガニックって単語、聞きたくもない」 「うわ。真のプリンセス」 「ほんと

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牧場でえと シロクマ文芸部

白い靴の彼女は、ふわりとした白いスカートを合わせていた。 牧場の階段を下りるときも跳ねるように軽やかなので、子羊かよと僕は思う。彼女は喜びを全身で表すタイプの人間だ。 「みのり」 「ん?」 濃厚みるくソフトクリームをとろけそうな顔で食べる彼女。 「別れるのやめよう」 忙しいという理由だけで、恋人関係をやめようとしていた。 僕はなんて浅はかな男なんだ。 みのりの姿を一瞬見失い、僕はひやりとする。 見ると、彼女はその場にへたり込み顔を覆っていた。 「最後だからと思って…」 「う

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便利屋修行1年生 ⒍天体観測 連載恋愛小説

泊まりの仕事に野獣どもと一緒に行かせるわけにはゆかぬ、とまどかがキャンピングカーに乗り込んできた。 「野獣ってオレですか。それとも慶さん?」 「両方にきまってんだろ」 秋葉をひとにらみで黙らせる、姐さんの頼もしさたるや。 沢口は我関せずで荷物を運び込んでいる。 おかげで楽しくなってきました、と伝えると、綾はまどかに頭をなでくりまわされた。 *** 向かうは、高原のキャンプ場。天体観測イベントの設営を、毎年手伝っているとのこと。 周りに人家ひとつないだだっ広い敷地に、数十

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便利屋修行1年生 ⒋浮気調査 連載恋愛小説

どうやら、ここは便利屋と探偵業を兼業しているらしい。 前者は暮らしの困りごとをサポートし、後者は主に調査活動。 探偵っぽい仕事がまわってきたのは、綾が入って1カ月経った頃だった。 ふと気になって、聞いてしまった。 「浮気とかします?」 決定的証拠をつかむため、不倫カップルと同宿を取り、絶賛監視中。 対象者が腕を組んでチェックインすれば、理想的。 ロビーのソファに陣取り、それらしくするため綾は沢口の肩にもたれている。 カメラは目立つのではと思ったが、だれもそんなことに気をと

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便利屋修行1年生 ⒑名コンビ 連載恋愛小説

まどかが奇声を上げたので、なにごとかと綾は駆け寄った。 鉢植えから虫が転がり出たらしい。 「…はー、たすかった…沢口くんいないと、仕事になんないわ」 あきれた眼差しを向けつつも、彼女の目につかないよう手早く処理する沢口。 綾が動じないことに、まどかは目を丸くする。 「え、なんで…?気持ち悪くないの?」 「えーと、カブトムシの幼虫集めてました。小学生のとき」 コワッと全身でドン引きされてしまったが、兄の影響と知って納得はしてくれた。困ったのは、そのあと。 兄ふたりの存在に食

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