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「国債」と「家計の借金」は異なると教えてくれた一冊

10か月前
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stand.fm 音声配信【思考のデザイン】2023/12/22:DX考③顧客グレードに対しテンポよく初→中→上級を網羅せよ

『全国民インターネット保有義務化』

【校正2】校正作業にデジタルツールを使ってみる

脱ハンコのためには、文書が正しいことを、別の手段で証明する必要がある。「ハンコは無駄だからやめにしよう」というだけでは、不十分なのだ。「これまで印を押していたのを押さなくて済む」というだけのことではない。それだけでは、書類の真正性を証明できないからだ。

政府は、2021年3月から、マイナンバーカードを健康保険証として利用できるよう計画を進めていた。しかし、利用者にとってのメリットがどこにあるのか、分からない。薬手帳の代用になるというが、それだけのために、わざわざマイナンバーカード取得の手続きをするのも面倒だ。

このまま進むと、「ハンコ文化からは脱却できたものの、今度は別の迷宮入り」といった事態になりかねない。 ただし、1つだけ例外がある。それは、e―Tax(国税電子申告・納税システム)だ。2004年6月から導入された。これは、行政手続きのオンライン化で成功した唯一の例だ。

紙の仕組みに代えて、オンライン化する。それに電子署名する。そして、その署名が正しいことを証明するために、電子証明する。このような「デジタルID」の仕組みに置き換える必要がある。

もう1つの非常に大きな問題は、現在の仕組みは、政府あるいは公的機関が全体を管理しているので、利用者の個人情報が国によって管理される恐れが原理的にはあることだ。これは、最も根本的な問題点だ。

菅義偉政権のデジタル化計画はマイナンバーカードを中心に進められている。これを用いて、さまざまな手続きのオンライン化を進めようというのだ。 しかしマイナンバーカードは普及していない。その理由はマイナンバーカードを取得しても、e―Tax以外ではそれほど便利なことにはならないからだ。

個人医療情報に使えるようにするためには、マイナンバー制度を大幅に改革する必要がある。また、医療機関が受け入れるかどうかも分からない。

書類が送られてきて、そこに所要事項を手書きで記入し、マイナンバーカードのコピーを添付する。アナログそのものの面倒な手続きだ。これを送られる出版社も迷惑なことだろう。手書きで記入してある情報をいちいち入力しているのだろうか?

このまま進むと、「ハンコ文化からは脱却できたものの、今度は別の迷宮入り」といった事態になりかねない。

スマートフォンは、いろいろな機会に使うから、置き忘れということがあり得る。いまの形態の免許証に比べて、紛失の事故は多くなるだろう。

私は、制度導入直後に、早速申請してマイナンバーカードを取得した。なぜなら、原稿などを書いた場合に、出版社からマイナンバーの提出を求められるからだ。

スマートフォンのアプリに保存することで利便性が向上するだろうか? その逆に、リスクが高まるのではないだろうか? これも健康保険証と同じことで、利用者にとってのメリットがどこにあるのか、分からない。

現在の形態の運転免許証ならハッキングで情報が流出することはないが、スマートフォンに入れたら、流出する危険も生じる。万一、スマートフォンを紛失した場合にも、情報が漏出する危険がある。

e―Taxの普及率を大幅に高めた要因は、紙ベースであった社内の経理システムの大幅な改革が可能となることだ。また、税理士による代理送信が認められたこともある。

マイナンバー制度は、役に立たないどころか、地方公共団体に余計な労力負担をかけるだけの制度になってしまったのだ。信じられないようなことだ。

アメリカでは、バイデン政権の成立に伴い、トランプ政権時代のITに対する敵対的な政策が変化する可能性がある。以上のような変化は、今後の米中デジタル戦争の行方に重大な影響を与えるだろう。