木村綾子

別冊文藝春秋「その本が、その場所にあること」

別冊文藝春秋「その本が、その場所にあること」

書店を舞台に、本にまつわる企画を手掛けるようになって8年がたちました。 2020年は、そのどの年とも違う一年でした。 「そこでしか買えない本」のために、そして、本とお客さんをつなぐ特別な場所のために走り出した初春から、イベント自粛、外出自粛、さらには、書店を含む様々な店舗への休業要請が発令される直前までに考えていたことを綴ったのが、これからご紹介するエッセイです。 冒頭で紹介している又吉直樹さん全編書き下ろしアンソロジー『Perch』は、一度は発売延期になったものの、

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ゴールデンウイーク雑記

ゴールデンウイーク雑記

■木村綾子さん✕高山都さんインスタライブ(ハナコカレッジオンライン) 何としてでも聴きたかった20:00からのライブ。ムスメを寝かしつけ中、何度か邪魔されながらも細切れで聴けた。後で再度聴き直したい。 お二人は、自分の青春時代にむさぼり読んでいた雑誌「PS」「CUTiE」「ZIPPER」などの雑誌読者モデルで活躍されていて、私の憧れそのものだった。今みたいにスマホが無かったから、田舎の女子中高生がファッション情報を仕入れるのって当時は雑誌だけで、前髪のピンの留め方とか、チー

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喪失とともに|木村綾子

喪失とともに|木村綾子

 梅雨があけ、夏が来た。  この季節の訪れは、ほかのときより少しだけ、私を緊張させる。東京に居ながらにして、東京を強く思う。東京を思うことは生きて暮らしていくことを思うことと、もはやほぼ同義だ。  14年前の夏の日、私は一度東京をあきらめかけた。ある朝起きると声がまったく出なくなっていたのだ。それ以外には何の不調もみあたらなかった。声、言葉だけが、暮らしからすっぽりと抜け落ちてしまった。  当時私は24歳。昼は大学院に通い、放課後はモデルの仕事と文筆業、夜から朝にかけては学

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もしも、が叶ってしまうことの恐怖|木村綾子

もしも、が叶ってしまうことの恐怖|木村綾子

 願わくは過去に戻って未来を変えたい、だとか、パラレルワールドのような世界でまったく違う自分を生きてみたい、などという「もしも」の欲求を抱いたことが考えてみたらいちどもなかった。  なんていうと、さぞ幸福で満ち足りた人生を送ってきたのだろうなんて言う人がいるかもしれないけれど、もちろんそんなことはなくて、いっぽうで人生にすっかり絶望しているわけでもないのだから、この感覚をどう言葉にしたらいいのか。 『時空のゆりかご』の著者のエラン・マスタイは、カナダ生れの脚本家で、本作が小

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女、ふたり、東京の場合。|木村綾子

女、ふたり、東京の場合。|木村綾子

 これは私がよく知っている女ふたりの東京の話。  ふたりは幼馴染だった。高校を卒業すると、田舎から東京に出てきて、下北沢に1DKのアパートを借りて一緒に暮らしはじめた。1995年のことだ。  ひとりは短大を卒業後、ファッション誌のライターになった。もうひとりは美容師になり表参道で働きはじめた。  やりたい仕事に就けたとはいえ、暮らしがすぐに裕福になったわけではなかった。   狭いアパートにそれぞれの部屋はなく、生活空間にはつねにふたりの持ち物がいっしょくたにされていた。けれ

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言葉で残すということ|木村綾子

言葉で残すということ|木村綾子

 その本を読まなかったら思い出さなかったであろう記憶が、あざやかに蘇る瞬間がある。  自宅の一角で書道教室をいとなんでいた家に育った私にとって、文字がある日常は、ごく当たり前のものとして、いちばん古い記憶をたどった先にうかぶ光景だ。  紙は文字を書くためのものとして、とても大切にされていた。けれど、まだ文字を会得する前の幼い私にだって、なにかを書いてみたいという欲はあった。  書道教室のいちばん隅の机で、紙と向き合う時間が好きだった。  私よりずっと上の生徒たちは、半紙に筆

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にぎやかな孤独|木村綾子

にぎやかな孤独|木村綾子

 このごろよく、祖母と話をしている。  彼女が90歳を越え、もうほとんどのことを忘れてしまったころから、意識して、話をするようにしている。  東京に住む私か、田舎に住む祖母か、どちらかが話をしたくなると、ふたりの間を父がつないでくれる。  話すときは、iPhoneのFaceTimeという機能をつかう。父から祖母にiPhoneが渡るとき、内蔵カメラの枠の中にスムーズに祖母の顔が収まることもあれば、通じたそばから画面が揺れて、実家の床や庭の飛び石や祖母のしわくちゃの指が映ることも

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もう来ない「迎え」|木村綾子

もう来ない「迎え」|木村綾子

 今年のお正月も田舎に帰って過ごした。大学進学を機に上京したのが19歳になる年だったから、19年同じことを繰り返していることになる。  けれど結局、帰省したところで家族以外だれとも会うことはなかった。もう十年以上も、旧友とは連絡を取っていない。  上京してすぐ、学業と並行して雑誌モデルの仕事をはじめた私は、彼女たちにとってすぐに“異質”の存在となった。私が田舎に持ち帰る“東京”は華やかでなければならなかったし、置かれた環境への戸惑いや将来への不安を滲ませたとしても、それにす

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木村綾子の仕事紹介
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木村綾子の仕事紹介

こんにちは。木村綾子です。 このnoteでは、これまでのお仕事、いまやっているお仕事の紹介をさせてください。 この出会いをきっかけに、新しいご縁に結ばれますように。 ■プロフィール 木村綾子 文筆業・企画 1980年生まれ。静岡県浜松市出身。明治大学政治経済学部卒業後、中央大学大学院にて太宰治を研究。文学修士課程修了。10代から雑誌の読者モデルとして活躍、2005年よりタレント活動開始。2020年より「蔦屋書店」で本にまつわる企画と制作。文筆業の他、ブックディレクショ

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やりきった先には、想像以上の出来事が待っている。企画メシプレイベントレポート

やりきった先には、想像以上の出来事が待っている。企画メシプレイベントレポート

「企画でメシを食っていく2019」が、いよいよ5/4(土)に開講! 【4/8(月)24:00】のエントリー締め切りを前に、「企画メシについてもっと詳しく知りたい」「応募しようか悩んでいる」という方に向けたプレイベントvol.1が、みなとみらいBUKATSUDOで開催されました。 事前予約は完売、イベント当日は当日券も出るほどの盛況ぶり。 第1部は、企画メシを主宰する阿部広太郎さんと、BUKATSUDOコンテンツプランナーの木村綾子さんの対談。 第2部では、阿部広太郎さ

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