旧公衆衛生院

【博物館】港区立郷土歴史館の感想ーその①ー

博物館企画の第3弾です。第3弾は港区立郷土歴史館の感想です。港区立郷土歴史館は1938年に建てられた旧公衆衛生院の形を残しながら、再整備を行った建物です。博物館は白金台にあります。博物館企画第2弾で取り上げた近代医科学記念館のすぐ近くです。今回は旧公衆衛生院の感想を①とし、別の機会で港区郷土歴史館の展示について、感想を述べたいと思います。

感想①:設立した時期が興味深い

 旧公衆衛生院は国民の

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旧公衆衛生院 週末研究27 用途変更

週末研究27回目
旧公衆衛生院施設は保健衛生の研究、教育を目的として開設された。
現在は港区の複合施設として運営されている。旧講堂、旧院長室、旧次長室は、開設当時の空間が保存公開されているが、他の部屋は用途変更され使用されている。

復原の考え方を全ての空間に用いることが、文化財の観点からすると重要となるが、多目的に利用できる公共施設として捉えると、利用対象は限定される。そのために、開設当時の設を

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過去と未来の学び、そして行動

歴史的建造物と地球環境の学習を続けている。過去と未来の学びから今と向き合う対極的な視座である。

今現在、横軸のつながりを重視する傾向が出てくる。今起こっている情報、課題、関係性への課題に対応することが優先され、縦軸のつながり、時間、空間、関係性は見落としがちになる。

先人が仮説を立てた未来。すなわち現代。古さを感じさせない考え方、活動、佇まいは、今につながり、未来へ襷が渡される。

SD

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研究は続く

旧公衆衛生院の建物研究は、半年が過ぎた。
時間をかけ、空間と対峙することで、思想を感じることが少しでもできればと続けているが、疑問は深まるばかりである。

戦前戦後、困難な時代を超えながら毅然と佇む姿。そこには、社会背景と密接な関係がある。

設計者・内田祥三の思い、姿勢を、文献、資料からではなく空間から推察する。

研究は続く
#旧公衆衛生院 #内田祥三 #推察

旧公衆衛生院 竣工の時代

大河ドラマ" いだてん " で、ナチスドイツ、ベルリンオリンピック、韓国併合、満州国、日中戦争勃発の頃の社会情勢を映している。

旧公衆衛生院が竣工したのは、昭和13年。
日中戦争が始まった翌年である。
時代背景は同じ。少なからずシーンが被ってくる。

文責 関原宏昭
#旧公衆衛生院 #日中戦争 #時代背景

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面取りに含まれるメッセージ

旧公衆衛生院の柱には、角の面を取ったものと、そうでないものがある。
また、面取りは上部下部とも途中で止め、三角のデザインが浮かぶように施されている。

旧公衆衛生院の開設の目的は、保健衛生に関する研究と保健師の教育にある。

面を取った空間は、研究・教育を想定した専門的な場と考えられる。三角のデザインは向学と土台が表現されている。

面を取ってない空間は、一般的な場と考えられ、交流やプライベート

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ドームをイメージして

旧公衆衛生院の中央ホール

やはりドームをイメージして描かれたのではなかろうか。
中央に近づくにつれおり上がる。

先日東京ドームに行った時、ドームの考え方、多様性が目に付いた。自然空間を人工的に構成する思想から生まれたものである。

同様に中央ホールを眺めていると、単なる円形ホールの天井装飾であるはずがない。
冠のように周りを取り囲む尖った装飾との連動性からして、ゴシック建築のドームと相通じるも

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昭和10年代への旅 その後

旧公衆衛生院

この館には昭和10年代の設え、機能が現役のまま生きている。痕跡は数限りなく残っている。
80年以上前の空間が現存していることは、奇跡かもしれない。

もちろん、復原のための修理、公共施設としての設備追加、改修はされているが、既存建物の状態が良好だったからこそ今の輝きがある。

昔を知る高齢者の方々が来館されるのは不思議ではないが、レトロな雰囲気マニアの若者が、コスプレをしてやってく

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空想対話自習中〜教育施設として

旧公衆衛生院は学校施設としてRC造で建設された。英語表記では、The Institute of Public Healthとされている。

当然のことであるが、部屋は教室、研究実験室として作られている。全ての部屋に教育への思想が盛り込まれている。

先日、数年前にRC造で建設された某中学校を訪問する機会があった。建物目的は同じ学校施設である。こちらも教育への思いが盛り込まれていた。

しかし、違い

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空想対話11〜建築余談

旧公衆衛生院をとおして建築家・内田祥三との空想対話11〜建築余談

ロックフェラー財団は関東大震災後、復興援助の一環として公衆衛生専門家の育成・訓練機関の設立について打診、日本政府がそれを受け公衆衛生院を設立に至る。
社会情勢が不安定になる中、軍需資材が優先され鉄部材も統制が行われながらも、資材調達及び施工は特例的に行われる。(商工省令 鉄鋼工作物築造許可規則 :通例では1棟50t未満)

旧公

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