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街は今カルピスの中朝霧に

萩揺るる初老の恋のごとそっと

秋の蚊に吸わせてやるも徳のうち

秋の雲絵の具溶く間に様変はり

目が合ひぬ莢から覗く枝豆と

明日は雨ふくれっ面の柘榴かな

青を待つ人のリュックに猫じゃらし

稲妻や闇に潜みし雲あらわ

渋谷から月に追われて新都心

生きるとは何ぞ秋思の河川敷

古代よりこの指先へ赤蜻蛉

合唱に耳を澄ませば蜩も

墓参り我より若き父と会ふ

聴き分けてなどか嬉しき草雲雀

新涼の風来て空の後ずさる

吹かれても光こぼさぬ秋桜

幸せに胡座かくまい終戦の日

残暑にはカルメンマキとしゃがみこむ

柔らかく光を孕む芒の穂

手花火に寄せあふ顔の近きこと