青田にてふと現るる風の足

ほどほどの風に吹かれてそよぐ青田は、少女の髪がなびいているようで美しい。でもそれを見たってどうってことはない。私が興奮するのは、その風が突風と化した時の光景です。青田の一部が踏みつけられたように倒れて白くなり、瞬く間に立ち上がって青に戻る。その主ビームな変化を指向性のよいマイクで吸い取って、タイトルの句を吐き出しました。

これはこれで「イケてる」と自画自賛しています。でも、歳時記をめくっていたら、青田と風を無指向性のマイクで拾ったような名句に出会って、いやはや、「参りました」です。

見えぬ目に風は青田の色伝へ 大谷展生

この360度アンテナを張り巡らせている感じ、視覚を補うように他の感覚を研ぎ澄ませている感じ、素晴らしいと思います。大谷展生さん、どういう方なのかしら。

そうそう、昨日も書きましたが、「青田」は七月の季語です。