文学を語ろう

【読書会感想】僕はこの詩が好き

【読書会感想】僕はこの詩が好き

#文学を語ろう 初めてのオフライン読書会で、フェルナンド・ペソア『ポルトガルの海』を読んだ。 ペソアの詩は孤独だった。 読者の私に何も個人的なことは、明らかにしてはくれない。 「僕」で語られる詩の、僕はどんな人でどんな人生を生き、そこからどうして深い孤独を感じ、詩を書いているのか、分からなかった。 私は詩や小説を読んだり、美術館で絵画を観たりするとき、まず作者の来歴を読んでいた。 こういう時代に、こういう人生を送った人だから、こういう作品を作ったというように。 ペ

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この世に自分の片割れのような相手がいたら、どう感じるか?

この世に自分の片割れのような相手がいたら、どう感じるか?

文学の奥深さを味わうサークル『コルク佐渡島の文学を語ろう』。 noteの「サークル機能」を利用して行なっている文学サークルでは、毎月、一冊を選んで、読んだ感想や気づきを共有しあう「読者会」を開催。これまで選書した本はこちら。 ・3月:Carver's dozen―レイモンド・カーヴァー傑作選 / レイモンド・カーヴァー(著)村上春樹(翻訳) ・4月:透明な迷宮 / 平野啓一郎 ・5月:風の歌を聴け / 村上春樹 ・6月:本当の戦争の話をしよう / ティム・オブライエン(著

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【読書会感想】悪童日記を読んで

【読書会感想】悪童日記を読んで

コロナ禍で13年間通ってきた茶道教室に行けなくなり、半年が過ぎた。 この分人を生きられないことはつらい事だが、今は代わって文学サークルに参加することが、新たな経験になっている。 #文学を語ろう の読書会、八月の課題本はアゴタ・クリストフ『悪童日記』だった。 戦時下を生きる双子達と個性的な登場人物達が、感情表現の極めて少ない簡単な文章で綴られている。 アゴタ・クリストフが出版社に自らこの作品を郵便で送りつけ出版に至った経緯から、この作品は読まれるべきだという作者の強い意志

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【読書会感想】そこから小説がはじまる

【読書会感想】そこから小説がはじまる

#文学を語ろう の読書会、今回の課題本イーユン・リー『理由のない場所』を直接語ることは、苦しくて、酸素が少なめで、言葉が発せられなくて、出来そうにない。 そこで、死者に語りかけるということから思い出した私の好きな作家、須賀敦子の文章の一節から近づいていけたらと思います。 須賀敦子『本に読まれて』                                「小説のはじまるところ 川端康成『山の音』」 食事がすんでも、まわりの自然がうつくしくてすぐに立つ気もせず、スウ

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小説とは作家からの手紙。 語り得ぬものに、想いを馳せる

小説とは作家からの手紙。 語り得ぬものに、想いを馳せる

文学の奥深さを味わうサークル『コルク佐渡島の文学を語ろう』。 この文学サークルでは、毎月、一冊の本を決めて、読んで感じた感情や気づきを共有しあう「読者会」を開催している。 これまでの読書会で選書した本はこちら。 ・3月:Carver's dozen―レイモンド・カーヴァー傑作選 / レイモンド・カーヴァー(著)村上春樹(翻訳) ・4月:透明な迷宮 / 平野啓一郎 ・5月:風の歌を聴け / 村上春樹 ・6月:本当の戦争の話をしよう / ティム・オブライエン(著)村上春樹(

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損なわれた人間が抱える荷物の重さとは?

損なわれた人間が抱える荷物の重さとは?

文学の奥深さに、ひとりではまっていくのは難しい。 サウナやワインと一緒で、水先案内人に楽しみ方を習いながら、仲間と作品について語り合うことで、気づくと作品を読む解像度が上がっていく。 そこで、noteのサークル機能を利用して、文学サークル『コルク佐渡島の文学を語ろう』を、今年の2月からはじめた。 この文学サークルでは、一冊の本を決めて、感想や気づきを共有し合う「読者会」を毎月開催している。これまでの読書会で選書した本はこちら。 <3月> <4月> <5月> そし

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【読書会感想】何かが損なわれるということ

【読書会感想】何かが損なわれるということ

人が記憶を物語るのを聞きながら、こんなに自分の記憶が呼び起こされることがあっただろうか。 #文学を語ろう の読書会ティム・オブライエン『本当の戦争の話をしよう』の回で、 佐渡島さんの南アフリカでの話を聞きながら、私は高校時代のある出来事を思い出していた。 高校3年の夏休みのある朝、めずらしく母に起きてきてと声をかけられた後に、テレビのニュースで知ったのだと思う。 私の通っていた高校の同級生がある事件の被害者となり、殺されてしまった。 近い友人だったのではなく、同じ学

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物語の創作とは救済であり、エールでもある | 村上春樹さん 『風の歌を聴け』

物語の創作とは救済であり、エールでもある | 村上春樹さん 『風の歌を聴け』

かつて誰もがクールに生きたいと考える時代があった。 僕にとって、クールの象徴といえば、村上春樹さんの小説に登場する主人公たちがそれだ。「やれやれ」という言葉と共に、やや斜め上から世界を見下ろし、悟ったかのように人生を語り出す。同時に、独特のセンスの持ち主ゆえに、ある種の人々を惹きつけ、生活にも女性にも困っておらず、一定の余裕を持って世界と接しているように見える。 大学一年生の時に、村上春樹さんの小説を読みはじめた僕は、一時期、村上作品の主人公たちに憧れていた。『ノルウェー

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