マクシミリアン

王子の中庭 5

「そんなことないわ」マリアは微笑みながら頭を振る。「私こそ、二十歳にもなっていながら、そんな推察もしてあげられなくてごめなさい。予定を過ぎてもなかなかブリュッセルにお見えにならないことをただただ心配するばかりで…。あのときも、お義母様がこう言ってくだすったのよ。『ねえ、マリア。今のうちに、あなたの持参金を差し上げておいてはいかが? マクシミリアンにとっても、決して邪魔になるものでもないでしょうから

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王子の中庭 4

「なんだ、そんなことだったのか」フェリペは軽く流す。
「おいおい、おまえはこのブルゴーニュ公国に生まれ育ったお坊ちゃんだから、そんな気楽なことを言うが、ハプスブルク家ときたら、神聖ローマ帝国皇帝とは名ばかりの、貧しい地方領主に過ぎなかったのだよ。こんな豪奢なタペストリーや高級織物などを輸出して繁栄している国とはわけが違う。なにしろ、わが父フリードリヒ三世の日常は、庶民に近いほど簡素な暮らしぶり。ご

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Thanks! 見巧者ですね
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王子の中庭 3

【シーン2続き】
幼いマルガレーテは合点するようにうなずく。彼女の名前が、祖母マーガレットにちなむものであることはすでに知っていたのだ。
また、マーガレットはマリアの継母でありながら、実の娘のように可愛がり大切に育ててくれたのだということも、かねがね母マリアから聞かされていた。マリアが三歳のとき、実母イサベルは亡くなった。その三年後に父が娶ったイングランド王エドワード4世の妹が、マルガレーテにとっ

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王子の中庭 2

【シーン2】
居間の暖炉では、低くパチパチと心地よい音を立てて薪が燃えている。マキシミリアン(マックス)、マリア、フェリペ、マルガレーテの親子四人はその前の絨毯に腰を下ろし、暖をとりつつ笑いさざめいている。
フェリペは母マリアの膝に抱かれ、マルガレーテは父マキシミリアンに寄り添うようにして座っている。
居間の壁面の一つは、豪奢なタペストリーで覆われている。そこには、マリアの父シャルル突進公の結婚式

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Thanks! 見巧者ですね
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王子の中庭 1

しんと静まり返った夜のゲントの街。
画面はその夜景からプリンゼンホフ宮殿の内部へと切り替わる。
宮殿の控えの間では、マリアとマックスが踊っている。
(BGM:”Magical Lovers N°1”)
見事なステップだ。二人とも抜群の運動神経とセンスをもっているのがよくわかる。もしも見物人がいたとしたら、ただ息をのんで見つめるほかないだろう。だが、その広々とした一室には二人のほかは誰もいない。二人

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