伽羅かおる

「華麗なるマリー姫とマクシミリアン1世の愛の物語」の、小説と朗読の投稿になります。 ベ…

伽羅かおる

「華麗なるマリー姫とマクシミリアン1世の愛の物語」の、小説と朗読の投稿になります。 ベルギー近郊のドイツ在住という地の利をいかして、独語版仏語のマリーの本も読みつつ、彼女の歴史的な背景を史実に基づいてご紹介していく予定です。マリーに関係するブルージュの写真もアップします!

マガジン

  • マリー姫とマクシミリアン1世のかくも美しい愛の物語  第1章

    中世ヨーロッパにおいて強大な富を誇ったブルゴーニュ公国のマリー姫と、神聖ローマ皇帝家のハプスブルグ家の御曹子マクシミリアンの史実に基づいた物語を、マリー姫の側で育った2人の姫アリシアとセシリアの物語と共にお届けしています。こちら文章による配信になります。 歴史好きなお子さんや学生さん、そしてお年を召した方まで、たくさんの方に楽しんでいただけたらと思っています。 ヨーロッパ中世の歴史好きな方、是非一度お立ち寄り下さい!

  • 小説朗読 マリー姫とマクシミリアン1世の愛の物語  第1章

    こちら私の投稿している小説の朗読になります。 中世ヨーロッパにおいて強大な富を誇ったブルゴーニュ公国のマリー姫と、神聖ローマ皇帝家のハプスブルグ家の御曹子マクシミリアンの史実に基づいた物語を、マリー姫の側で育った2人の姫アリシアとセシリアの物語と共にお届けしています。 歴史好きなお子さんや学生さん、そしてお年を召した方まで、たくさんの方に楽しんでいただけたらと思っています。 ヨーロッパ中世の歴史に興味のある方、是非一度お立ち寄り下さい!

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小説朗読 自己紹介

初めての投稿ということで、自己紹介です。

    • 【番外編】《塔の王子達を殺したのは誰なのか》その5

      左からバッキンガム公ヘンリー・スタッフォード 、リチャード3世、ヘンリー7世、そして彼の母マーガレット・ボーフォートです。この中に犯人がいるはずです。誰だと思われますか?  今回は【番外編】最後の回になりますが、前回書いた怪しいと思われる3人の人物について、なぜ彼らが特に疑わしいと思われるのか、またそう思えるほどの確実な動機があるのかどうか、一人ずつ順番に説明させていただきます。  まずはヘンリー7世です。  彼はプランタジネット家のランカスターとヨークの統合を示すため

      • 【番外編】《塔の王子達を殺したのは誰なのか》その4

        ※エリザベス・ウッドヴィルとマーガレット・ボーフォートの肖像画  ところでその頃、前王エドワード4世の妻で、前女王だったエリザベス・ウッドヴィルはどうしていたのでしょうか。 彼女は「塔の王子達」の母親であり、また同時にヘンリー7世の妃となるエリザベス・オブ・ヨークの母でもありました。  エリザベス・ウッドヴィルの幼い息子であったエドワード が王に即位し、リチャードが守護卿を務めようとした際、権力を独占しようとするウッドヴィル家の企みが発覚し、リチャードはすぐに、エドワード

        • 【番外編】《塔の王子達を殺したのは誰なのか》その3

          『リチャード3世伝』を書いたトマス・モアと、彼の師ジョン・モートン枢機卿のステンドグラス  ところで、もう一度いったん話をもとに戻しますが、広く知られている2人の王子を殺したのはリチャード3世であるという話はどこから来たのでしょうか。  それはヘンリー7世の時代にジェームズ・ティレルという男が、自分が絞首刑になる直前に、 「リチャード3世が2人の王子を殺害するように指示したので、自分達が実行した」のだと自白した---あるいは自白させられたからですが、これはいつの話だったか

        • 固定された記事

        小説朗読 自己紹介

        小説朗読 自己紹介

        マガジン

        • マリー姫とマクシミリアン1世のかくも美しい愛の物語  第1章
          65本
        • 小説朗読 マリー姫とマクシミリアン1世の愛の物語  第1章
          44本

        記事

          【番外編】《塔の王子達を殺したのは誰なのか》その2

          クラレンス公ジョージとリチャード3世兄弟と、イサベルとアン姉妹の家系図 シェークスピアはこう描いています。 「リチャード3世が戴冠できたのは、兄王の子供達である甥2人がいなくなったから。リチャードは自分が王になるために邪魔な幼い甥2人を殺した」    この一見誰もがすんなり信じてしまうほど上手に描かれたシェークスピアの悪王「リチャード3世」ですが、実はこれ自体が真実ではありませんでした。   なぜなら、リチャード3世が王として戴冠できたのは、甥2人が死んだという理由では

          【番外編】《塔の王子達を殺したのは誰なのか》その2

          【番外編】《塔の王子達を殺したのは誰なのか》その1

          復元されたリチャード3世の顔と昔からの彼の肖像画  王宮として使用されていたロンドン塔は、確かに高貴な身分の者を閉じ込める、特別な「牢獄」としても使われていましたが、リチャードが甥2人をそこへ連れて行った時は幽閉の目的か、保護の目的だったのかは今となっては不明です。  しかしシェークスピアはリチャード3世によって、そこに閉じ込められ、そのまま行方がわからくなったエドワード4世の息子(当時12歳と9歳)エドワード5世とその弟ヨーク公リチャード---そしてその2人を殺すように

          【番外編】《塔の王子達を殺したのは誰なのか》その1

          【番外編】《兄弟・親族で殺し合ったヨーク家とは》その2

          エドワード4世の最初の妻と言われる別名「秘密の女王」エレノア ・バトラーのイメージ画  前回から「兄弟・親族で殺し合ったヨーク家」と書いていますが、プランタジネット家に属していた、ランカスター家、ヨーク家、そしてランカスター家と繋がりのあったチューダー家(ヘンリー7世のエリザベス・オブ・ヨークとの結婚によってヨーク家とも縁の出来た)、これら全ての一家が入り乱れて争い、 戦争をして、お互いに殺し合っていました。    元々は偉大なるプランタジネット家のエドワード3世に息子が多

          【番外編】《兄弟・親族で殺し合ったヨーク家とは》その2

          【番外編】《兄弟・親族で殺し合ったヨーク家とは》その1

          こちらは愛らしい2人の少年エドワード5世とその弟のリチャードの「塔の中の王子達」の有名な絵  前回『血まみれ一族・チューダー家』というタイトルで書き、いかにもチューダー家が異常なほど残虐だと言わんばかりに述べましたが、実は私が一番最初に薔薇戦争において興味を持った逸話というのは、ヨーク家内の兄弟親族間のそれこそ残酷な抗争ぶりでした。  セシリー・ネヴィルとヨーク公リチャードは子沢山で13人の子供が生まれ、その内4人の男子が成人しました。  それが、エドワード4世、エドム

          【番外編】《兄弟・親族で殺し合ったヨーク家とは》その1

          【番外編】《血まみれ一族・チューダー家》

          1833年にポール・ドラローシュによって描かれた美しくも哀しい『ジェイン・グレイの処刑』の絵  前回「チューダー朝ヘンリー7世の家系図」について書いた際に、プランタジネット朝からチューダー朝までの国王の名前を書き並べましたが、この中の何人かは「悲劇的に殺害あるいは処刑された」あるい「非道に殺害あるいは処刑した」という、この王達に殺害された人物の名前がどうしても後ろから這い出してくるような、なんとも血にまみれた記憶が呼び覚まされる見覚えのある名前ばかりでした。  整理すると、

          【番外編】《血まみれ一族・チューダー家》

          【番外編】《チューダー朝ヘンリー7世の家系図》

           【第3章】に入る前に、家系図なしではわかりにくかったチューダー朝ヘンリー7世の家系図を作成し、今一度色々なことを整理しようと思いました。  さて、この家系図を見ると彼が王位にそれほど近い位置にあったとは言えないことがおわかりいただけるかと思います。  確かにヘンリー7世の曽祖父はジョン・ボーフォートでヘンリー4世の偉大なる父ランカスター公ジョン・オブ・ゴーントの息子だったものの、ジョン・ボーフォートの母はジョン・オブ・ゴーントの愛人だった3番目の妻キャサリン・スウィンフ

          【番外編】《チューダー朝ヘンリー7世の家系図》

          【第2章】その62✤新たなる旅立ち その2

          これがその現存されているエドムンドの指輪で彼の称号である "+Earl of Rutland" (ラトランド伯爵)と刻まれた銀製の指輪  ベアトリスがセシリーと話し、ヨーク家から離れ、ミデルブルグからも旅立つことに決めたのは3月初旬のことで、3月中旬には既にミデルブルグにはいなかったのだ。  彼女が旅立ったのには、それにはいくつかの理由があった。  彼女にはエドワードの思いを受け入れることはできないということ。 そしてもちろん彼女はエドムンドとの間に出来たお腹の子供をど

          【第2章】その62✤新たなる旅立ち その2

          【第2章】その61✤新たなる旅立ち その1

          プランタジネット家の三兄弟。向かって右からエドワード4世、真ん中が弟クラレンス公ジョージ、一番左側が一番下の弟で後のリチャード3世  激しい戦闘も終わり、6月の戴冠式を待つだけになったエドワードはすぐにでもミデルブルグへ行こうと考えていた。  妹のマーガレットは母セシリーとベアトリスの待つミデルブルグへ到着し、2人の弟ジョージリチャードはブルゴーニュ公国フィリップ善良公の元へ客人として迎えられていた。  フィリップ公の孫娘マリー姫は当時4歳、彼女が赤子の頃から最も条件の

          【第2章】その61✤新たなる旅立ち その1

          【第2章】その60✤フェリブリッジとタウトンの戦い

          タウトンの戦いで矢で総攻撃をかける兵士達  タウトンから17㎞ほど手前の場所にフェリブリッジがあるが、最初の戦いはこのフェリブリッジで始まった。  フェリブリッジとはロンドンから北へ300㎞ほど遠方の、右上方にあるヨークまではたった43㎞の、昨年12月30日にヨーク家が大敗を喫したウェイクフィールドの戦いの場所からも20㎞と離れていない場所だった。  ヨーク公リチャードとベアトリスの愛するエドムンドが殺されたあの悲劇的な、そしてヨーク家にとっては決して忘れることのできない

          【第2章】その60✤フェリブリッジとタウトンの戦い

          【第2章】その59✤エドワードの思い

          カンタベリー大聖堂に描かれたエドワード4世のステンドグラス  エドワードは、 「今、皆でロンドンへ行くのは早急過ぎる」という母セシリーの返事を受け取り、苛立ちを隠せなかった。 「王になって迎えに行く」とベアトリスに約束したから自分はこんなにも頑張ることができた。数々の苦しい戦闘中にも、いつも心の中にはベアトリスの姿があったのだ。  確かに戴冠式はまだ先の事ではあるが、一時も早くベアトリスに求婚して、彼女に対する自分の真摯な愛情を示したかった。  ベアトリスが自分をどう思

          【第2章】その59✤エドワードの思い

          【第2章】その58✤お腹の子の父は

          こちらは「ラビーの薔薇」とも「誇り高きシス」とも呼ばれたセシリー・ネヴィルの肖像画。彼女の2人の息子はイングランド国王に、孫娘はイングランド王妃に、そしてひ孫もまたイングランド国王になる。つまりかの有名なヘンリー8世の曾祖母が彼女であった。ヘンリー8世以降のすべてのイングランドおよびその後の英国の君主は、エリザベス オブ ヨークの子孫なので、したがって今に続く英王室の血筋がセシリー・ネヴィルから来ているということになる  セシリーはベアトリスに単刀直入に尋ねた。 「貴女の

          【第2章】その58✤お腹の子の父は

          【第2章】その57✤イングランドの玉座を継承する者

          『キングメーカー』ことウォリック伯が自分の馬の喉を切り裂き、タウトンの戦いの前に戦場を放棄しないことを誓う様子を描いたヘンリー・トレシャムの絵  ロンドンで待ち受けていたウォリック伯の手引きにより、エドワードがロンドンの街、そしてロンドンの城へ入城した際、市民達は大きな歓声で彼を出迎えた。  そこには子供時代、暗い顔をしていた少年の姿はどこにもなく、若く金髪で長身のエドワードはまるでローマ神話のアポロンのようだった。  実際これが『キングメーカー(国王を造る者)』と言われ

          【第2章】その57✤イングランドの玉座を継承する者