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なぜ従業員から意見が出ないのか? 〜心理的安全性の罠〜

こんにちは。

様々な経営者や人事の方と話す時によく議論に上がるワードが「心理的安全性」です。

心理的安全性とは、

自分の考えや感情を安心して気兼ねなく発言できる状態

のことです。

組織開発におけるキーワードとして、マネジメントにおいて意識をしている方も多いのではないでしょうか。2015年にはGoogleが効果的なチームに必要な概念として発表をし、人事界隈での認知が広がりました。

そもそも、なぜ心理的安全性が必要なのか?

心理的安全性はなぜ重要と言われるのか。それは、心理的安全性によって従業員の意見行動を増やしたいからです。

意見行動とは、

仕事に関連する論点に対して、意見、懸念、アイディアを表明すること

と定義されています。

この行動は、リスクを回避したり、新規事業開発をする上で重要になってきます。しかし逆にいうと、いかに心理的安全性がある組織でも、意見行動が活発になっていなければ意味がありません。

では、心理的安全性が整っている組織では本当に従業員から多様な意見が出てくるのでしょうか?

心理的安全性の罠

実は、心理的安全性を確保するだけでは、意見行動が十分に出ないことがわかっています。

実際、心理的安全性は確保されているはずなのに、なかなか従業員の意見が出てこない...とお悩みの経営者、マネージャー、人事の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

例えば、こんな組織を想像してみてください。

上司部下間でとても仲がいい50人ほどのIT企業。プライベートの話も多く、心理的安全性は確保されていると考えられる。
経営層は、月に一度、従業員誰でも経営者に意見が出せるミーティング(オープンドア)を開催して、意見を聞くようにしている。
しかし、なかなか従業員は意見を出してくれないで困っている。

もっと活発に従業員の意見を引き出すにはどうしたらいいでしょうか。

この組織の問題は、従業員の意見を聞き入れることはするのに、それを採用し、活用することが少ないことです。それによって、従業員は意見を出しても意味がない、反映してもらえないと考えてしまうのです。

つまり、自分の出した意見を、周りの従業員が支持、採用してくれて、組織にとって効果的に働くであろうという自信が必要なのです。

この自信を「意見効力感」といいます。

意見効力感とは

意見効力感について、詳しくお話します。

意見効力感は、心理的安全性とともに従業員の意見を引き出すキーになっています。しかし、日本では心理的安全性にのみ目が向けられおり、意見効力感について触れられている記事はありません。(海外では、Voice Efficacyなどと呼ばれています。)

下図のような理解が分かりやすいです。

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このように、心理的安全性が意見行動を出すための土台のようなもの(意見を出してもデメリットがない状況)なのに対して、意見効力感は、それを更に引き上げるもの(意見を出すことでメリットがある状況)になっています。

心理的安全性だけ存在し、意見効力感がない組織では、どんな意見を出しても責められたり、無下にされることはありませんが、意見が活用されづらく、組織にとって効果的に活きることはありません。そういった組織では、従業員は意見を出しても意味がないと感じてしまい、意見を出しづらくなってしまいます。

これは、組織サーベイを行っている企業でも同じことが言えます。組織サーベイで意見をどんなに集めても、それを採用することがなければ、従業員は意見効力感が下がり、サーベイに素直に答えてくれなくなってしまいます。

意見効力感を上げるには?

最後に意見効力感を高める方法についてお話します。

意見効力感を高めるには、システム、姿勢の2つの面からアプローチをする必要があります。

システムとしては、従業員の意見がより会社施策に反映されやすい仕組みを作る必要があります。従業員の意見を聞くブレスト形式のミーティングを設置している組織であれば、それを集約しアクションに落とし込むミーティングも同時に設置する。など、心理的安全性と意見効力感を同時に満たせる仕組みをつくっていく必要があります。

例えば、株式会社メルカリが紹介している「ソウゾウ会議」は、心理的安全性と意見効力感を同時に満たせている良い施策だと思います。

姿勢としては、従業員の意見を聞き入れる姿勢だけではなく、意見をどうやったら採用できるかを常に考える姿勢です。意見を直接的に採用できなかったとしても、その意見を無下にせず、何かしらの形で転用できないかを考える姿勢を従業員に見せることが重要になります。

心理的安全に着目している企業さんは、同時に意見効力感も高めることもぜひ意識してみてください。



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