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胸鎖関節の運動学


胸鎖関節(Sternoclavicular Joint ; SC関節)は上肢骨格と体軸骨格を結びつける基盤となる関節です。

そのため、しっかりとした固定と、かなりの可動域を備えなければなりません。

鎖骨の運動は肩鎖関節を介して肩甲骨の運動と連動します。また、上肢全体の運動にも深く関わります。

今回は胸鎖関節の運動学について解説していきます!


胸鎖関節の運動学

鎖骨の骨運動は自由度3です。前額面で挙上、下制、水平面で前方突出、後退、矢状面で軸回旋です。

鎖骨の運動の目的は、上腕骨頭と関節を形成する肩甲骨を最適な位置にすることです。肩甲上腕関節のほぼすべての機能的な動きに胸鎖関節の動きが伴います。

上肢を頭上に挙上する際には、鎖骨の運動は3つの運動面すべてにおいておこります。

挙上と下制

鎖骨の挙上と下制は前ー後の回転軸を中心に前額面で起こります。35〜40°の挙上と10°の下制が報告されています。鎖骨の挙上と下制は胸郭に対する肩甲骨の動きと似たような軌道をたどります。

関節包内運動は胸鎖関節の縦径に沿います。

鎖骨の挙上は、凸状の関節面が上方に転がりながら胸骨の凹面に下方へ滑ります。引き伸ばされた肋鎖靭帯が鎖骨の位置を止めて安定させます。

鎖骨の下制は凸状の関節面が下方に転がりながら上方に滑ります。最終域まで下制された鎖骨は鎖骨間靭帯と関節包靭帯の上部を引き伸ばすように伸長します。

前方突出と後退

鎖骨の前方突出と後退は水平面に対して垂直な回転軸によりほぼ水平面と平行に起こります。

前方突出と後退の最大可動域は15〜30°と報告されています。鎖骨の水平面上の動きは、肩甲骨の胸郭に対する前方突出と後退に連動します。

関節包内運動は胸鎖関節の横径に沿って起こります。

後退は鎖骨の凹関節面が胸骨の凸関節面を後方に転がりながら滑ります。最大可動域では肋鎖靭帯前部線維束と関節包靭帯の前部が引き伸ばされます。

前方突出は鎖骨の凹関節面が胸骨の凸関節面を前方に転がりながら滑ります。最大の前方突出は前方リーチ動作の際に起こります。肋鎖靭帯後部線維束や関節包靭帯の後部、肩甲骨内転筋が異常なほど短縮していると、前方突出は制限されます。

鎖骨の軸回旋 

胸鎖関節の3つ目の自由度は軸回旋です。

上肢の屈曲や外転の運動中に鎖骨の上面に乗っている点は後方に20〜35°回旋します。反対に上肢を下げる時は後方回旋した鎖骨は元の位置に戻ります。

鎖骨の回旋の関節包内運動は関節円盤の外側面に対する鎖骨の内側端の回旋です。

鎖骨の軸回旋は、機械的に上肢外転と屈曲の運動と連動し、上肢を下ろした状態では鎖骨の軸回旋を分離的に行うことはできません。

まとめ

・鎖骨の骨運動の自由度3
・全額面上で挙上、下制
・水平面上で前方突出、後退
・矢状面上で軸回旋
・胸鎖関節は上肢骨格と体軸骨格を結ぶ
・鎖骨の骨運動は上肢と肩甲骨の運動に連動する

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今回の記事は以上になります。

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