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上腕挙上時の回旋筋腱板の機能

上腕の挙上(肩関節の屈曲・外転)時の回旋筋腱板の機能についてです。

肩甲上腕関節は人体の中でも大きな可動域を有しますが、一方で非常に不安定な関節構造になっています。

回旋筋腱板による肩甲上腕関節を安定させる機能は重要になります。

回旋筋腱板について解説していきます。

それでは、学習していきましょう!


回旋筋腱板は棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋からなります。



これらの筋は上肢を挙上する際に、関節の動的安定性の調整、関節包内運動の制御に働きます。

動的安定性の調整

肩甲上腕関節は安定性を犠牲にして可動性を優先するように設計されています。上腕骨頭と関節窩の緩い結合により肩甲上腕関節における幅広い可動域を可能とし、上肢のリーチを増加させています。

肩関節を通る筋肉のほとんどが肩甲上腕関節を安定させるように働いています。その中でも回旋筋腱板は最も優れた動的安定性をもたらしています。

回旋筋腱板の重要な機能は、肩甲上腕関節の自然な緩みと不安定性を補うことです。

回旋筋腱板は上腕骨近位端に付着する前に関節包と混じり合っています。この構造は関節のまわりに保護的な支えを形成し、筋は神経系によって活性化されると硬くなります。

回旋筋腱板による力は上腕骨頭を回転させるだけでなく、関節窩に対して上腕骨頭を押し付けて回転の中心とします。

肩甲上腕関節の動的安定性には健全な神経系と筋骨格系が必要であり、こらら2つを周辺結合組織内の固有感覚の受容器を介して統合されます。

固有受容メカニズムを積極的に活用することは、肩関節不安定症の患者のリハビリテーションプログラムのなかで重要視されています。

関節包内運動の能動的制御

健常な肩において回旋筋腱板は、肩甲上腕関の多くの能動的な関節包内運動を制御します。

水平に走る棘上筋の収縮は関節窩に直接圧縮力を与えます。外転中、上腕骨頭が上方に転がりながら、上腕骨頭を関節窩にぴったりと安定させます。

棘上筋の位置と力線は外転の関節包内運動を司るに理想的です。外転中、棘上筋の収縮は上腕骨頭を上方へ転がすと同時に過度で逆効果を招く上腕骨頭の上方への並進を制限する筋腱の”スペーサー”としても役立ちます。

さらに、肩甲下筋、棘下筋、小円筋の力線は外転中に上腕骨頭へ下向きの力を生み出すこともできます。下向きへの力は、外転の初動における、強力な三角筋の収縮による上腕骨頭の上方への並進効果を中和するために必要です。

また、広背筋や大円筋のように外転中に伸張される筋の受動的な力でさえ、上腕骨頭に対し下向きの力を発揮する可能性があります。下向きの力源を欠いた場合には、烏口肩峰アーチに上腕骨頭がぶつかり、それ以上の外転を阻止する可能性があります。

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今回の記事は以上になります。

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