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関節包における拘縮発生メカニズム

拘縮の責任病巣は、骨格筋(筋膜)と関節包が拘縮の中心となります。

関節包は4週間以上の不動により拘縮の原因となります。

骨格筋に比べると組織の変化はゆっくりですが、拘縮の大きな要因になりえます。

今回は関節包の拘縮発生メカニズムについて紹介していきます。



関節包とは?

関節包とは、関節を包んでいる袋状の膜のことです。

関節軟骨と共に関節腔を形成しています。

生理的機能は、

①関節液(滑液)の産生
②関節液との物質交換
③関節の安定性を高める


関節包は骨膜から連続して関節全体を覆う構造になっています。

関節包は外層の線維膜と内層の滑膜に分けられます。

外層:線維膜

外層の線維膜は骨膜につながっており強い結合組織です。

線維膜を構成しているコラーゲンの多くはタイプⅠコラーゲンです。

線維束の配列は関節運動の方向と一致しており、伸張性に乏しいです。

反対に、外力に対する強靭性があり、靭帯と同様に関節の安定性に寄与しています。

内層:滑膜

滑膜を構成しているコラーゲンはタイプⅢコラーゲンです。

直径は細く、量も少ないため、線維束を作ることは少ないです。

滑膜の表層にあたる滑膜内膜には関節腔内へ飛び出す滑膜ヒダが存在し、大きなものは脂肪細胞を含みます。

対向する関節面の適合しない部分を補い、関節内の死腔を埋めています。

関節包の伸張性は滑膜に由来するところが大きく、多くの先行研究では不動によって滑膜に線維化が発生することが指摘されています。

ラット膝関節屈曲拘縮モデル

不動による膝関節後方関節包は、滑膜に存在する脂肪組織に萎縮を認め、その間隙を埋めるようにコラーゲン線維の増生が生じています。

これらの所見は、滑膜における線維化の発生を意味します。

一部の先行研究では、隣接する滑膜内膜同士、あるいは滑膜内膜と隣接する関節軟骨などとの間で癒着が生じると報告されています。

不動による滑膜の器質的変化に由来した関節性拘縮の発症メカニズムに関与していると推察されます。

まとめ

・外層の線維膜はタイプⅠコラーゲン線維が多い
・内層の滑膜はタイプⅢコラーゲン線維が多い
・不動により滑膜の脂肪組織が萎縮しコラーゲン線維が増生する
・隣接する滑膜内膜同士や関節軟骨などと癒着が生じる
・関節包による拘縮は内層の滑膜の器質的変化に由来する

今回、参考にした書籍はこちらです↓
理学療法から診る廃用症候群: 基礎・予防・介入


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今回の記事は以上になります。

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