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引き継いだ事業、なぜ「やりきれない」のか?

いつもありがとうございます。
今回も、後継経営者の方々に役立てもらえるように、励みになるように心掛けて話をしていきます。
少しの間、お付き合いください。

さて、今回は「引き継いだ事業、なぜ「やりきれない」のか?」というタイトルなのですが、結構事業承継の本質的な話です。

まずは、私が体験した事例からお話しします。

その事業、10年後どうなると思いますか?

ある後継者の方の中長期経営計画の策定支援をしておりました。

自社を取り巻く外部環境、内部環境の分析~問題の抽出~経営課題の設定~課題解決策、数値計画の立案~アクションプランへの落とし込みといった流れで進めておりましたが、ご本人はあまり納得のいっていない様子。

アドバイスを求められましたので計画を拝見してみますと、「現状の事業の延長線上でしか語られていないな」と客観的に思ってしまいました。

ここで取り繕っても彼はそのような答えを求めてはいないことは知っていましたので、正直にダメ出しをしました。

「その事業、10年後どうなると思いますか?」
「外部環境の変化を踏まえて、このまま利益を上げ続けることができると思いますか?」

すると彼は「自分もそう思います。」と苦笑い。その後、その背景を語ってくださいました。

彼の社長は父親で、典型的なワンマンでトップダウンの経営者。外部の研修で学んだことなどを自社に還元しようと色々と提案はするものの、社長に突っぱねられることが多く、次第に自分の意見を控えるようになっていったそうです(その方が、精神的にラクとのこと)。そのため、経営計画を自分自身で策定するにも、社長の考えがベースになってしまっていた、という訳です。

彼の会社のコアビジネスは社長が立ち上げられたものです。当然、社長はその事業に対して想いも熱量も持っておられます。だからこそ、やり切ることができて会社も成長させることができた。

しかし、彼はゆくゆくは会社を引き継ぎ、事業も引き継がれます。しかし、社長と同じような想いを持つことはあったとしても、熱量までは引き継げません。「どんなことがあっても、この事業をやり遂げる!」という強い使命感を果たして持つことはできるでしょうか。

熱量が弱いのは自分の事業ではないから

シンプルに、引き継いだ事業には社長ほどの熱量を注げません。自分よりも事業に対する理解や想いを持っている社員もいたりするので、なおのこと向き合い方が難しい。

しかし、経営のかじ取りをするのは後継者ご自身です。先代の目もありますし、自分よりも先輩の社員の方々もいらっしゃる。でも、先代から引き継いだ以上は、経営者として結果を出さないといけません

で、あれば、どうすればよいか。

解決策の一つは、「自分の事業を創出すること」です。新規事業はもちろんですが、引き継いだ事業を変革することも一つです。ご自身の想いをのせて、熱量をかけることのできる事業を考えてみてください。ワクワク感が重要です。

同族企業について話をしますと、社長の任期はおよそ30年と言われています。30年経てば、そもそもビジネスモデルを見直す時期としては十分です。永続企業を目指すうえでも、30年ごとのビジネスモデルを転換するチャンスは逃さない方が良いと思います。

最後に、先の後継者のその後です。

ポジティブな話ではないのですが、社長が体調を崩されたことがきっかけで、経営全体を見るようになられたそうです。そこで、100年企業を目指して本格的に経営計画を策定し、全社員に向けた発信をされました。

その経営計画を見せていただいたのですが、以前に見せていただいたものとは異なり、ご自身の言葉で語られていました。現在の事業の変革ポイントも明確でした。熱量も感じました。彼の説明した後のドヤ顔が嬉しかったです。

事業承継において「後継者の意識や覚悟の醸成」は頻繁にテーマとなりますが、その一因は「事業に対する熱量が弱いこと」だと思います。今回の話が参考になりますと幸いです。

また、次回も宜しくお願い致します!




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