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春瀬由衣
2020年11月10日 17:27
一度は嫌った町どうも苦手だった。野良猫のような縄張り意識というか、外から来た人間を見る眼差しというか。地蔵盆。道端にあるお地蔵さんを囲んで、地域で催される小さなお祭りみたいなもの。京都では割と盛んらしい——らしい、というのも、私はよく知らない。参加したことがないからだ。小学校の集団登校で、家の向かいの子らと一緒に登校した。すぐ近くに同級生もいたのに、私は地蔵盆に参加しなかった。我が家と向かい
2020年11月9日 22:56
抗うつ薬を飲んで、大きく気分が落ち込むことはなくなった。——だけど、なんだろう。この薄いベールで世界と私が隔たれているような感じは。感情の津波から守るためのベールは、海を全く見えなくさせてしまった。聞こえるのは寄せては返す波の音だけ。悲しみも慟哭もない代わりに、喜びも幸せもどこか他人事。守られている、籠の鳥。鳴いても鳴いても、聞こえるのはこだまだけ。あと三週間。それが、復職へのリミット