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20歳になってバイセクシャルだと気がついたはなし④同性への片想いが本当に辛かった話【後編】

題名がながいな!!!!!何故だ!!!


こんにちは、こんばんは

はるかぜです。


このnoteを書き始めた頃から、状況はかなり悪化しているなぁ、と思わざるを得ない今日この頃ですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

はるかぜはまだ学生なので、大学の講義が全てオンラインになり、思いがけずお布団の中でも出席が可能になった幸せをちゃっかり噛み締めつつも、今も最前線で闘って下さっている医療関係者の方々に想いを馳せながら、おうちに引きこもっています。

前編をまだ読んでないぞ、という方はぜひそちらから読んでくださると、話がとってもスムーズに進むかと思われます↓↓



がんがんいきましょう!!



ステージ3.悪夢、バージョンアップしてふたたび来たる


再びフリーになった彼女と、いつもだったら絶対行かないぞ、という彼女チョイスの映画を2つ返事で了承し、いそいそと一緒に観に行くなどして親睦を深めていた頃。

彼女の事を虎視眈々と狙っている同級生の存在に、はるかぜの周囲の話題は持ちきりでした。

一方のはるかぜは、前回の傷がまだ全く癒えていなかったので、ライバル(?)の登場に内心動揺しつつも、

本人もうーんって言ってるし、まぁ大丈夫やろ☆

と、持ち前のポジティブ思考をフル稼働させて、いかに友達としての距離を縮めるかに心血を注いでいました。

ちょっとアプローチされて困ってる、的な相談もされたりなんかして、私の方がこの子の事分かってんだぞ!!!と、内心鼻高々にマウントを取るなどして過ごしていました。呑気なものです。

そんな呑気な日々は、秒速で終わりを迎えました。

あの日一緒に食べた夜ご飯の味はほとんど覚えていません。ちなみに久しぶりに飲んだお酒が美味しかった事だけはしっかり覚えています。


ステージ4.頭が真っ白になり、何故か勢いで人生初のカミングアウトをかます


その日は、何人かの友人も含めて、焼肉食べに行こう!という日でした。

お腹もほどよく膨れて、場もあたたまってきた頃、

話題は突然衝撃的な方向に展開します。


「実はおととい〇〇(前述の男性)とデートをしていて」

「告白されたんだけど、一応返事を保留してる」

「けど、99%付き合うと思う」



、、、、、、


場にいるのはたったの数人です。茫然とフリーズしている場合ではありません。

目の前にいる友人達は早くも色めきたった反応をはじめています。スタートから出遅れる訳にはいきません。おうおうおうおうまてまてまてまてまてまてまて




「ええ〜〜〜!!よかったじゃん〜〜!!」(目の前の焦げた網をガン見)

↑完全に戦意喪失しかかった脳みそを必死にムチ打ってギュインギュインに動かした結果


、、こんなに切ない食卓があるでしょうか。

気持ちの中では、

今すぐ帰って泣きたい VS 本邦初公開とみられるこの子の新情報を聴き逃す訳にはいかない 

が壮絶なバトルを繰り広げていましたが、なけなしのプライドと、こうなったらこの恋心は絶対に誰にも知られる訳にはいかないぞしっかりしろ、という焦りで、勝負はあっさり後者に傾きます。

友人が根掘り葉掘り情報を聞き出す傍ら、はるかぜは「うんうん」「へぇ〜」「ひゃ〜〜」を、ポーカーフェイスで連呼する係への就任を決め込みます。半年前の悪夢が、今まさに目の前で再びはじまりの時を迎えていました。


この危機に際し、

脳内は完全に守りに入ります。

実はこの頃、既にはるかぜは同性愛者のコミュニティに片足を突っ込んでいました。前回の第一次失恋期にかなりダメージを負ったことが大きく、この痛みを誰かと分かち合わないともう無理だ、でも大学の友達にはとても言えない、、と思い詰め、初めて2丁目のミックスバーというものに足を踏み入れました。そのバーに行ったツテで、レディースオンリーのクラブイベントに初めて顔を出したのも、ちょうどこの頃でした。(このあたりの話はまた別記事に出来たらなとおもいます)

彼女の話がようやく一段落つき、彼女が大好きな声で、にっこり「はるかぜは?なにか良い話ないの?」と聞いてきた時、はるかぜの中で、何かが音をたてて崩れ落ちたのだと思います。

気がつけば、人生で初めて、身近な人にカミングアウトをしていました。


やっぱりどう頑張ったところでどうにもならなかった無力感と、実は目の前の女の子に振られているこの状況をバレたくないプライドと、もうこの恋は終わりにして、早く次に行こうと自分を奮い立たせる気持ちと、もう色んなものがごちゃまぜになって混乱していました。辛い荷物をまた一つかかえる事が確定した未来に限界を感じて、ここで一つ荷物を下ろしてしまいたい、という気持ちもあったと思います。

脳内のはるかぜは、20分前の失恋をものともせず颯爽とカミングアウトしていたのですが、実際は声も震えるし、なかなか肝心な事は言い出せないし、目線は泳ぐしで、めちゃくちゃ言いにくい事を頑張って言った感満載でした。

そんなめちゃくちゃでしどろもどろの状態の私の話を、彼女はうん、うん、と静かに促して聴いてくれました。他の友人達は、明らかに思考停止していました。

友人が気を遣いつつも、若干引いてるのに申し訳なさを感じながら家に帰った後、突然の爆弾発言を反省する旨を述べたわたしに、彼女は

話してくれて嬉しかった、はるかぜははるかぜだし、これから気兼ねなく恋バナができるとおもうとうれしい

といった内容を返してくれました。

それを読んだ瞬間、この子にだけは一生恋バナ言えないんだった、という絶望感と、セクシャルマイノリティを疑いはじめて以来ずっと、自分の中に積もりに積もったものまでが一気にこみ上げてきて、


久しぶりに声を上げて号泣しました。

その日はほとんど眠れませんでした。


ステージ5.パワーアップした悪夢にしっかり苛まれ、悟りを開く


順調にお付き合いをすすめる彼女を横目に、なるべく今まで通りに、今まで通りにと自分に言い聞かせながら過ごそうと試みるものの、はるかぜは

・みんなの知り合い同士だからこそ各地で大盛り上がりするノロケ話

・普通に目の前で会いに来てイチャつき出す

・心の距離を縮めようと頑張った事が裏目に出て、追加でこっそりノロケを追加される(そしてフラれた相手に進捗どう?と聞かれる)

の三重苦に苛まれます。

前回は顔の見えない敵だったことに感謝すらするレベルで、共通の知り合いに彼女を奪われた代償は桁違いでした。前回は杞憂で終わったあんな事やこんな事が、瞬く間に自分の目の前で鮮やかな現実になっていく様に、流石のポジティブウーマンはるかぜも心が折れました。


何気ないLINEの中で「好き〜!!」と言われて頼られるだけで、スマホを抱きしめたいくらいまだ嬉しくて好きなのに、

直後に開いたインスタのストーリーで、その一言を、彼氏とカフェで勉強しながら彼氏の目の前で打っていた事に気がついてしまった時は、ああ、みじめってこういう事を言うんだなと思って泣きました。

それでも、友達として築いたこの関係だけは絶対に壊したくなくて、セクマイの話はしても、自分のこの恋の話だけは絶対にしないようにしていました。

もろもろの経験を経ての感想は、「あ、私、そもそも土俵にすら立ってなかったんだな」です。これに尽きます。ここまで来ると、悟りを開いて彼女の幸せを願うくらいしか、本当に出来る事がなくなります。片想いの成仏には2年くらいかかりました。



近くにいるからこそ、逃れられなくて、聞きたくもなかった話を、沢山聞きました。
その度ににこにこしながら、よかったね、と呟くことを、何度繰り返したか分かりません。
知らないままでいたかったことも、隣の子が聞いてしまったら、もう聞かなかったことには出来なくて、知りたくなかったことも沢山知りました。それでも、あんなに幸せそうに話されてしまったら、もう私には何も出来ない。言えることなんて
、伝えられることなんて、何もなかったです。

土俵にすら登れないというのは、そういうことなのだと思い知りました。


「恋愛に男も女も関係ないよ!同じ人間だもの!」論を耳にすることがあります。

個人的な恋愛観を言うと、私はこれにはなかなか賛同できないなと思っています。一度でもノンケの同性相手に片想いをすると、「恋愛に男と女が当たり前に関係ある」という大前提を覆すということが、相手にとってはどれだけ想定外の事で、意識すらしないものか、ということをまざまざと思い知らされます。

2年前のあの時、男の子2人の間で揺れていた彼女に、私が人知れず恋心を募らせていた事に、誰が気がついていたでしょうか。そこでの私は完全に傍観者でしかなく、彼女がどちらかを選ぶのを傷つきながら真横で見ているしかありませんでした。彼女と、彼女と私をとりまく、今まで築いたあらゆる関係が壊れてもそれでも良い、と思える勇気は、当時の私にはありませんでした。いまもありませんし、幸せそうにお付き合いを続けている彼女を見ていると、それが間違っていたとは思いません。

でも、同時に、私が人知れず長期間の失恋に枕を何度も濡らしていたという事実を、周りの友人や家族は何も知らないんだな、と思うと、

さみしさや孤独感と同時に、

ああ、何もかも上手く行ってるように見えている人も、きっとみんな人知れず色んな悩みを抱えているんだろうな、私には見えていないだけなんだろうな、と自然と思えるようになりました。

だってこの2年間こんなに私泣いてたのみんな知ってる???私悩みなさそうじゃん???うっそぴょーーーーーん!!!!!!爆泣きです!!!!!

と思うと、色んな対人関係が凄く楽になりました。当たり前のようでいて、はるかぜは20歳過ぎるまでちゃんと気がつけていなかったです。

バイセクシャルとして生きてみて、辛い事もたくさんあったけど、意外な発見もあるものだなぁ、などと悟りを開いたフリをして、まだまだ悩みはつきませんが(にっこり)、人生の中でなかなかインパクトのある片想いトップ3には確実に入る経験でした。










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