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タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密

鑑賞時の感想ツイートはこちら。

2011年のアメリカ映画。ベルギーの作家 エルジェによる世界的人気コミック『タンタンの冒険』シリーズを原作に、スピルバーグがフルCGで映画化。主人公タンタンが個性あふれるキャラクターたちと繰り広げる大冒険を描いたアドベンチャー作品です。原題 "The Adventures of Tintin: The Secret of the Unicorn"。

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監督はスティーヴン・スピルバーグ。声の出演に、『リトル・ダンサー』のジェイミー・ベル(タンタン)、『ロード・オブ・ザ・リング』のゴラムを演じたアンディ・サーキス(ハドック船長)、『007』シリーズのダニエル・クレイグ(サッカリン)、『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ホット・ファズ』『宇宙人ポール』などでもコンビを演じたサイモン・ペッグ(デュポン/英:Thompson)とニック・フロスト(デュボン/英:Thomson)ほか。

全24巻の人気絵本シリーズが原作

タンタンの冒険』、あなたはご存じでしょうか? ベルギーの漫画家 エルジェさんによって 1929年~1976年に描かれたコミックで、日本では福音館書店から絵本シリーズとして刊行されています。その数、全部でなんと24巻

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エルジェさんの原作はフランス語で描かれており、原題は "Les Aventures de Tintin"。

日本では、最初に『黒い島のひみつ』と『ふしぎな流れ星』が出版された 1983年から、最後(*)の『タンタンとアルファアート』が出る 2007年まで、足かけ 24年。長い長いシリーズとなっています。

*『タンタンとアルファアート』(2007年)
作者のエルジェさんが執筆途中で亡くなられたため、未完となっている作品。エルジェさんがが残した物語のスケッチが、1冊の本にまとめられています。

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主人公は、少年記者の男の子 タンタン。白い犬の相棒 スノーウィと一緒に世界中を旅行し、事件に巻き込まれる物語です。

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『タンタンの冒険』シリーズは、1929年コミックス作家エルジェ(1907-1983/本名ジョルジュ・レミ)によってベルギーで誕生しました。未完を含めた24話の物語は、半世紀以上経った今でも、2億3千万冊以上が世界100以上の言語および地域語に翻訳出版され、世界中の人々に愛され続けています。
(出典: TINTIN NET STORE「“タンタン” って?」より)

シリーズお馴染みのハドック船長デュポン&デュボンなど、個性豊かなキャラクターたちも登場して、物語を盛り上げます。

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さらに詳しく知りたい方は、こちらのタンタン公式サイトをどうぞ♩

TINTIN JAPAN 公式HP
TINTIN JAPAN 公式Twitter

息子の読書への扉を開いてくれた「タンタン」

この『タンタンの冒険』シリーズ、わが家の親子にとっては思い出の詰まった特別な絵本でもあります。というのも、息子がタンタン大好き!」で、全巻揃えるほどの熱心な原作ファンなのです。

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息子本人によると、小学校低学年の頃に学校の図書室で「タンタン」と出会い、それ以来、お話が面白くて大好きになったそうです。

これは、登場キャラクターのひとり「ハドック船長」の

コンコンニャローのバーロー岬
なんと ナントの 難破船
そんなことって アラル海

といったユーモア溢れるセリフに代表されるように、訳者・川口恵子さんの名訳によるところも大きいのでしょうね♩(息子は、いつも本当に楽しそうに読みながら爆笑していました。特に一番笑えるのは『紅海のサメ』だとか)

毎年、誕生日やクリスマスのプレゼントとして、わたしの実家の母である “ばーば” にお願いして、1~2冊ずつ贈ってもらっていたっけ――。

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何年もかかって少しずつ揃え、ついに全巻コンプリート! 息子の本棚にずらりと並んだ全24巻がこちらです。エルジェさんのも、色使いがお洒落で可愛くて、とっても素敵なんですよね!

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もっと息子が幼かった保育園時代は、林明子さんの『こんとあき』や佐野洋子さんの『おじさんのかさ』など、親が選び、読み聞かせをしながら一緒に読む絵本が中心でした。

そこから一歩さらに進んで『タンタンの冒険』シリーズは、息子がはじめてこれが読みたい!」自分で選び”、親の助けを借りずに夢中で自主的に読んだ最初の本だったと思います。

いわば、息子に “本を読む楽しさ” を教えてくれて、その後つづく長い人生の “読書への扉” を開いてくれたのが「タンタン」だったわけです。

“ばーば” である実家の母にとっては、毎年、孫が楽しみにしている本を贈る――という歓びを味わわせてくれた存在であり、親であるわたしにとっても、わが子がケタケタと楽しそうな笑い声を上げながらくつろいで本に親しむ姿を間近で眺めるのは、とても良いものでした。

そんなわけで、わが家において「タンタン」は、親子三代にわたってあたたかい思い出を与えてもらった特別な本なのです。♡

スピルバーグがフルCGで映画化

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わが家で最初に「タンタン映画化!」のニュースを知った時、まずわたしと息子が口にした感想は

えっアニメ(2D)じゃないんだ!? 」

でした。『タンタンの冒険』といえば真っ先に思い浮かぶのが、整った線ベタ塗りが特徴的な、あのエルジェさんの絵柄だったから。あの独特のタッチ美しい色合いを活かさないなんて、もったいないなぁ――と思って。

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なんでも、本作はスピルバーグ監督にとって初の 3D立体映画だそうで、CGによる映像で迫力ある冒険活劇にしたかったのかなぁ、なんて勝手に理由を想像していたのですが、Wikipedia を読んで「なーるほど」と納得しました。

多くの監督がデジタルで撮影を行っている今もスピルバーグはフィルムでの撮影にこだわって映画をつくっている監督

そのスピルバーグが『ロード・オブ・ザ・リング』のピーター・ジャクソン監督と出会ったこと、原作者のエルジェさんが過去のタンタン映像化作品(実写、アニメなど)に満足していなかったこと――など、それらの経緯が合わさって、スピルバーグ監督にとって初のデジタル撮影、なおかつ(ピーター・ジャクソンお得意の)モーションキャプチャ技術を用いての 3D作品になった、とのこと。

そういうことだったのかー!

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本作のあらすじは、こんな感じ。

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あらすじ(ネタバレなし)
相棒のスノーウィと世界中を駆け巡り、難事件に挑む少年レポーター、タンタン(ジェイミー・ベル)。ある日彼は、美しい船の模型を手に入れる。その船は、海賊レッド・ラッカムに襲撃され海上で忽然と消えたといわれる伝説の軍艦ユニコーン号
ところがその日以来、なぜか正体不明の男たちに追いかけられることに。ほどなく謎の男サッカリン(ダニエル・クレイグ)に拉致されるも、なんとか助けられたタンタンは、ユニコーン号最後の船長アドック卿の子孫、ハドック船長(アンディ・サーキス)と出会う。2人は、サッカリンの執拗な追跡をかわしながら、ユニコーン号の謎を解き明かすべく奔走するのだったが――。
(出典: allcinema より抜粋)

映画のストーリーとしては、『タンタンの冒険』の原作シリーズのうち、

○『なぞのユニコーン号』
○『レッド・ラッカムの宝』
○『金のはさみのカニ』

からのエピソードを上手にミックスして脚本としているようです。

息子は「あ、あのお話のアレだ!」とか、逐一気づいたようで、原作マニアなりの楽しみ方をしていました。わたしは原作の方はざっくりとしか知りませんが、本作を観ても違和感なく、ひと続きのストーリーとして楽しめました。

何より監督がスピルバーグなので、観ていてすんなりとわかりやすく、安心感がありますしね♩ お子さんと一緒に、家族みんなで楽しむのにぴったりの作品だと思います。

デュポン&デュボンとトンプソン・ツインズの意外な関係!

わたしが本作を観て一番びっくりしたのは、原作でもお馴染みのキャラクター「デュポン」&「デュボン」のこと!

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デュポンデュボン
インターポール(ICPO)の刑事コンビ。双子でもなく親戚でもないのに容姿名前性格もそっくりな二人組で、イギリス風の黒い紳士服に山高帽、ステッキというおそろいの服装をしている。刑事としてはあまり優秀でない、間抜けなおとぼけキャラ。
▼ 公式サイトのキャラクター紹介

――って、双子じゃないのね!(ずっと双子だと思っていました。笑)

さて、何から何までそっくりなこの二人、どこが違うかわかりますか?

外見の違いはヒゲで、ヒゲの両端がクリンと跳ね上がっているのがデュポン、ストンと垂れ下がっているのがデュボンなのだそうです!(タンタン豆知識♩)

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それより、何より、これです!

英語だとデュポン&デュボンが別の名前になっていて、気になったので調べてみたら、なんと懐かしいトンプソン・ツインズに繋がってびっくり!
(鑑賞時の感想ツイートより)

そう。原作絵本では「イカレポンチのポン」「ボンクラのボン」などと区別して呼ばれている(笑)二人組ですが、本作の英語音声版で観ると「デュポン」は「トンプソン」(Thompson)で、「デュボン」は「トムソン」(Thomson)になっているんですよね。

Wikipedia 先生によると、こんな記載がありました。

各言語版で名前は異なるが、英語版ではトムソントンプソンであるなど、いずれもよく似た(紛らわしい)名前が付けられているという点は共通である。
フランス語版では "Dupond" と "Dupont" ともにありふれた姓であり、加えていずれも発音が同じ「デュポン」であるため、語尾の文字を取って「デュポン・デー」(d)、「デュポン・テー」(t)と区別する。2人をまとめて "Les Dupondt" と称する。

へぇぇーー! そうだったんだ。面白いなぁ。

で、ですね。80年代に洋楽を聴いて育ったわたしと同世代のみなさまはもちろんご存じだと思いますが、当時活躍したイギリスのバンドに、いましたよね。「トンプソン・ツインズ」!(Thompson Twins)

彼らのバンド名の由来が、まさにこの『タンタンの冒険』のデュポン&デュボン(Thompson & Thomson)なのだそうで!

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そうだったのかー、デュポデュボよ!笑

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最後に本作の予告編を。

CGで立体になると、スノーウィがフワフワで可愛いさ倍増です♡


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