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ヒックとドラゴン

鑑賞時の感想ツイートはこちら。

2010年のアメリカ映画。ドリームワークスによるCGアニメーション。ひ弱なバイキングの少年「ヒック」と、翼に傷を負い飛べなくなったドラゴン「トゥース」の友情を描いたファンタジー・アドベンチャー作品です。原題 "How to Train Your Dragon"。

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監督は『リロ&スティッチ』でもコンビを組んでいる、ディーン・デュボアクリス・サンダース

おとなだって、アニメーションが大好き!

みなさんはアニメーション映画、お好きですか? わたしは大好きです♩ 夢があって、ワクワクして、楽しいですよね~♡

アニメーション映画といえば、子どもから大人まで楽しめるエンターテイメント作品が主流ですが、中には芸術性を感じるシリアスな短編作品などもあり、世界中からどんどん素敵な作品が生み出されていて、飽きることがありません。

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最近わたしが観たアニメーション作品で、印象的だったのはこちら。

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○『愛してるって言っておくね』(2020年)
原題: If Anything Happens I Love You
監督: ウィル・マコーマック、マイケル・ゴヴィア
2021年(第93回)アカデミー短編アニメ賞 受賞

感想ツイートはこちら。

「芸術性を感じるシリアスな短編作品」の良い例ですね。Netflix で観られます。(下記リンク)

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息子が子どもの頃は、よく一緒に『ウォレスとグルミット』シリーズを観ました! イギリスのアニメーション・スタジオ「アードマン」が作っているクレイアニメです。作者は ニック・パークさん。

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チーズ・ホリデー』とか観たら絶対、チーズ(とクラッカー)を食べたくなっちゃいますよ! 柔らかな色合いといい、ねっとりしたテクスチャといい、美味しそうだったなぁ♩

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ペンギンに気をつけろ!』も最高! 何回観ても、息子と大笑いします。日本語吹替版では、ウォレス(おじさんの方)の声を欽ちゃんこと萩本欽一さんが演じていて、これまた楽しいのです。

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へそまがり昔ばなし』と『見習いドラゴン ゾグ』の「マジック・ライト・ピクチャーズ」も、すっっっごく好み!♡ こちらもイギリスのアニメーション・スタジオです。

まじょとねこどん ほうきでいくよ』も、同じく「マジック・ライト・ピクチャーズ」の作品。大好き! “ねこどん” が可愛いの~♡

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あっ……! どうしよう……


前置きが止まらないっ!!笑

いつものことながら、全然本題に入れなーい!困

好きな作品のことを話していると楽しくて、あれもこれも―― とご紹介したくなっちゃうんですよねぇ。(読んでくださる読者のみなさま、いつもおつき合いいただきありがとうございます……♡)

ドリームワークスが生んだ CGアニメの傑作!

ようやく我に返ったところで(笑)、本作『ヒックとドラゴン』へ話題を戻しましょう。作ったのは、アメリカのアニメーション・スタジオ「ドリームワークス」。

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こちらのロゴでお馴染み。ご存じの方も多いのでは?

○ ドリームワークス・アニメーションズ
映画監督のスティーヴン・スピルバーグ、音楽業界のデヴィッド・ゲフィン、元ディズニー副社長のジェフリー・カッツェンバーグの3人によって 1994年に設立された映画会社「ドリームワークスSKG」が前身。「SKG」は、Spielberg、Katzenberg、Geffen の頭文字を取ったもの。
その後、2004年にアニメーション部門が会社として独立。

代表作は『ヒックとドラゴン』のほか、『シュレック』、『マダガスカル』、『カンフー・パンダ』、『ボス・ベイビー』など。シリーズ化されている人気作もたくさん!

わたしの note 記事では、前にこちらの作品をご紹介しています。

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[ご参考までに]
もうひとつの有名アニメーション・スタジオ「ピクサー」については、こちらに。(ディズニーとピクサーの違い、など)

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さて、本作は「ドリームワークスが生んだ CGアニメの傑作!」と書きましたが、いったいどのへんが “傑作” なのかというと――

ドラゴンと少年の友情ストーリーがアツい!

原作はクレシッダ・コーウェルによるイギリスの児童書。ですが、ドラゴンたちが言葉を喋るかどうか、など、原作とは異なる点がいろいろあるようです。(原作ではドラゴンが喋る/映画では喋らない)

映画のあらすじは、こんな感じ。

遠い昔。バイキングたちが暮らす、バーク島という所があった(たぶん北欧あたりのどこか、という設定)。島には時々、ドラゴンたちが襲来した。村の食料をごっそり奪い、火を吐いて家を焼き、その度に甚大な被害が出ていた。バイキングたちはドラゴンを天敵として憎み、屈強なリーダー「ストイック」を先頭に、村を守るため工夫を凝らして代々ドラゴンと戦ってきた。

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ストイックの息子「ヒック」(Hiccup:しゃっくり)は、鍛冶屋で修行中の少年。立派なバイキングになることを夢見ているが、ひ弱で全く戦力にならず、村の皆からも半人前扱いされていた。父ストイックは、変わり者のヒックの扱いに悩んでいる。

ある日、島にドラゴンが襲来。ヒックは自分も加勢しようと、攻撃用の仕掛けをドラゴンに向けて放つ。手応えはあったが、ドラゴンは島の奥地へ落下してゆき、誰もヒックの手柄を信じてはくれなかった。ヒックのやる気を汲んだ鍛冶屋の師匠「ゲップ」の後押しもあり、父ストイックはヒックがドラゴン退治の訓練に加わることを許可する。

訓練で落ちこぼれる日々を過ごすヒックだったが、先日の仕掛けが命中し、傷つき飛べなくなっているドラゴンを島の奥地で見つける。漆黒の鱗と金色の目を持つそのドラゴンは、まだ誰も姿を目にしたことがない、バイキングの最大の脅威として恐れられている「ナイト・フューリー」という種だった。村の皆に認めてもらうため、ヒックは傷ついたドラゴンにとどめを刺そうとするが――。

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こちらがヒックの相棒、「トゥース」。「ナイト・フューリー」という種類のドラゴンです。

物語の最初は、バイキングの天敵として描かれるドラゴンたち。「ナイト・フューリー」の他にもいろいろな種類がいて、「ダブル・ジップ」、「グロンクル」、「モンスター・ナイトメア」――など、それぞれ違った特徴を持っていて個性豊か!

島の若者たちは、ドラゴンの種類別に退治法を訓練します。

中でも一番恐ろしい敵” と恐れられているのが、この「ナイト・フューリー」。姿なく強力な攻撃をしかけてくることが可能で、村の誰も見たことがなく、訓練教材のドラゴン・マニュアルには、こんな記載が――。

大きさ:「不明」/速さ:「不明
稲妻と死神の間に生まれた子ども」「戦うな
もし、出くわしたら、姿を隠してひたすら祈るのみ

そんな凄い(ヤバい)ドラゴンを、落ちこぼれのヒックが見つけちゃうんですね。

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このシーン、本当に良かった~!!(じ~ん……)

本作のあと、『ヒックとドラゴン2』(2014年)、『ヒックとドラゴン 聖地への冒険』(2019年)と続編が作られているのですが、すべてはここから始まったのだなぁ――と思うと、結構感慨深いシーンです。

こちらは第3作「聖地への冒険」のヒック。

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続編の2、3は、わたしは未見なのですが、予告編などを観ると

あら~、すっかり立派な青年に成長して!」

と、親戚のおばちゃんのような気持ちになってしまいます。笑

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ヒックが暮らすバイキングの島では、「ドラゴン」=「害獣」=「見たら殺せ」と教えられます。村を守るためにドラゴンを殺すことができてはじめて “一人前” と認められる―― そんな価値観が当たり前とされるコミュニティなのですね。

コミュニティの当たり前の価値観に収まることができないヒックは “変わり者”、“落ちこぼれ” と言われ、存在価値を否定されます。本人も自分をそう思っていて、“当たり前” ができない自分の特性に歯痒さを感じています。

そんなヒックが、己の特性に従い、強みを開花させた結果、同年代の仲間たちや父親からも認められ、最終的にはコミュニティの価値観に変革をもたらしてゆく姿は、ドラマチックでグッときます。

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ただ、本人には「何かを変えてやろう」などという気負いは微塵もないんですよね。ヒックは自分のこうしたいという心の声に素直に従っただけ。ヒーローヒーローしていない、等身大なところもサラリとしていて良いです。

トゥースが可愛い!♡

手負いということもあり、最初はヒックに対して警戒心むきだしだったトゥース。少しずつ、少しずつ、お互いを信頼し始め、だんだん二人(一人と一頭?)の間に絆ができてゆく様子が丁寧に描かれています。

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このシーンのトゥース、めちゃくちゃ可愛いっ♩

犬や猫、その他のペットなど、動物を飼ったことのある方なら “言葉の通じない別の生き物と、心が通ってゆく感じ” って、なんとなくわかっていただけるのでは? 生物間コミュニケーションとでも言うのでしょうか。

トゥース〜♡ むふふ♩
表情も、動きも、とっても可愛い
(何回言うねん。笑)

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そうそう。可愛いトゥースとヒックのキャラクター・デザインは、日本の方がデザインしたのだそうですよ! ドリームワークスの日本人デザイナー、野口孝雄さん。こちらのインタビュー記事が面白かったです。

ウーパールーパー、猫、エンドリケリー(古代魚)など、いろんな動物を参考にデザインなさったのだとか。

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再び少し脱線しますが、生物間コミュニケーションを描いたゲームに『人喰いの大鷲トリコ』という作品があります。

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わたしの大好きなゲーム・デザイナー、上田文人さんのゲーム。名作です。号泣です。わたしはエンディングで嗚咽しました。

動きの CG表現がスゴイ!

本作が “傑作” だと思うもうひとつの理由は、素晴らしい CG表現

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ヒックと一緒に訓練を受ける、村の仲間たち。

特にわたしが「凄いなぁ」と感じたのは、人物の動き。キャラクターたちの眉ひとつ、片頬のわずかな動き、肩の微細な動き!!――ほんとうに生きているかのように自然なのです。

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最近の CG業界では「モーション・キャプチャ」といわれる手法も広く使われるようになっていて、ZOZOスーツのように全身に点々を付けた役者さんが、実際にカメラの前で演じることで CGの動きを作れるんですよね。

こちらの動画は『DETH STRANDING』というゲーム作品の製作風景。わたしの好きな小島秀夫監督の作品です。
ゲームの例ばかりで恐縮ですが、CG技術について語るとき、その進歩が最も顕著に表れるのがゲーム作品。モーキャプで作られたCGとリアルな実物に、ほとんど差がないレベルだというのがおわかりいただけると思います。

スピルバーグ監督の映画『レディ・プレイヤー1』(2018年)もモーキャプで作られています。

なので、わたしが『ヒックとドラゴン』であまりにも自然なキャラクターの動きを観たとき、

えっ!? これモーキャプじゃないの?」

と思ったくらいです。笑

でも、調べてみても「モーション・キャプチャを使って製作された」とはどこにも書いていないし、こちらの動画を見る限りでは、どうやらアニメーターさんが動きをつけているようですね。


マジっすか!!笑

ディズニーやピクサーなどでも、アニメーターが自席のコンピュータの横に鏡を置いて、表情筋などの動きを細かく確認しながら1コマずつ動きを作る――と、どこかの映像で見たことがあるので、おそらくドリームワークスの本作もそうなのかもしれませんね~。

それであのリアルな動きが出せるとは! 驚愕

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本作の CG表現で、さらに特筆すべき点は、“飛翔感”。

ドラゴンに乗って空を飛ぶときの、風の冷たさや空気の匂いまで感じられるような、あの飛翔感が素晴らしいです♩ めっちゃ爽快

ところで、ドバイにあるテーマパーク「モーションゲート・ドバイ」では、『ヒックとドラゴン』のアトラクションが楽しめるそうですよ~。知らなかった!

映画の爽快な飛翔感が、なんとなく再現できている気がする!
日本にもできないかなぁ♩


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