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【詩】オーケストラ

オーケストラ
奏でる音色は耀きを帯び
舞台は明るい

懐かしい楽曲は
よく聞いた記憶の螺旋


舞台を見ながら
忘れえぬ瞬間と重ねる


あの時と同じ曲だと言うのに
別のもの


隣にはあなたがいて
若い私は流れる物語に
触れることも出来ず
あなたの隣にいる
それだけを感じていた

振る舞い方を知らず
あなたの視線を
探すのに心を費やす


何もわかっていなかった
表面だけを見て
その中にあるもの
それまでは


浮かれて
時に酔って
あなたを感じていた
ただ高ぶりを重ねるように



濃い時を経て
今にある


違う景色を見て
折り合わない山並みを歩き
太陽と月の話をして
後ろを向き合う


お互いのせいにして
家の空気をピンとさせた日も


通り抜けた歴史がある


庭の花を愛でる後ろ姿
猫とじゃれあう微笑み
コーヒーの豆を挽く横顔


お互いを赦した時の
温かい時の流れ


思い出を楽曲に重ね
目を瞑り身をゆだねる


味わうように
止まない拍手に触れる
耀きは変わらない
オーケストラ







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