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【詩】瞳の奥

少女の目は彼の目を見ていて

彼の目を見ていない

神経を集中している少女

言葉一つ出さず

下を向いて

また彼を見る


彼は静まった雰囲気に耐え切れず

不器用に

変な空気にしてごめんなさいと

和ませようとする


恥ずかしそうに下を向く彼は

何一つ悪くない


少女は彼と別れて

謝罪するあの人は

とてもいい人

少しだけ微笑んだ




饒舌で人を惹きつける

強いオーラのある彼女

少女は彼女の目の奥の脳の回路を

吸い取るように

じっと見つめる


何も言わぬまま

その後は一切顔を見ない

決意したように


彼女は責められるところがなく

皆が口を揃えて

いい人と呼ぶ

皆は楽しい話に笑い声が絶えない


少女は彼女には興味を示さず

彼女の事に触れもしない



少女は何も言わずに何かを

感じ取っている

姿かたちの奥にある別の暗黒を見た時

少女は決して口をひらかない

暗黒が暗ければ暗いほど



少女は暗渠を見た時

目を閉じて溜息をする

わたしはその時

人々の暗渠を知る













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