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君から僕へ

noteを書き続けてる理由は、一つの後悔と自己中心的な欲望のせいだ。

話すこと以外の言語の使い方に疎い自分に、ある種の呪いをかけていた。

伝わるわけがない。

読んでくれるわけがない。

でももしかしたら。

そんな厚さ40ミクロンにも満たないわずかな可能性にかけて、言葉を残していた。

修復不可能な時計をなおしているような感覚だ。

どこをなおそうとしても壊れていく一方だった。

“後悔”は修復できない。

そんなことは分かっていながらも、頑固親父のように、ただただ同じことを毎日続けていた。

止まった時間は一向に動かないまま、2年目の向暑の候が近づいていた。

これまでと変わらずに、意味のない修理に取り掛かろうとした。

壊れた時計の前に、誰かが立っていた。

なんだか懐かしい匂いがした。

“この時計はなおらないよ”

彼女が綴る、妙に説得力のある”言葉”が、心を一気に貫いた。

ずっと守りながら隠していた真実が、一枚ずつ丁寧に引き剥がされていく。

そこには、恥ずかしさと心苦しさだけが残っていた。

“でも、私はここにいる”

いつの間にか、なんのためにこの時計をなおしているのか忘れかけていた。

でも、その誠実な言葉で全てを思い出した。

全部、”君”に執着してしまった”僕”のためだ。

自己中心的な、君への思いを、勝手に正当化しようとしていた。

このまま気持ち悪いと蔑まれて、全てが”無意味”の箱に閉じ込められると思っていた。

でも、君はいつも、僕が勝手に作り上げた君のままでいてくれる。

僕が続けていた”意味のない”行為に、優しく意味をつけてくれた。

止まった時計の針は今日も動かない。

でも、時間が止まっているおかげか、君はずっと図書館がお似合いの君のままだ。

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