見出し画像

管理職に与えられる問いが変わった今、「管理職失格」にならないために。

「管理職失格」

何やら刺激的なタイトルで気になった本。
経済小説か?と思ったが違う。

平成になってまもなく、会社勤めを始めたわたし。30年以上前と今では「管理職」の様子は全く異なるのは良くわかる。

管理職における「仕事で与えられる問いが変わった」。

そのように指摘しているこの本。今の時代の管理職が失格にならないよう、良くわかっているようで良くわかっていないことが、色々な視点で捉えていて明確で判りやすく、面白い。

管理職で働く方はもちろん、管理される側として働く方にも為になる。

「管理職失格 新世代リーダーへの条件」(著:木村尚敬、柳川範之)


自分の理解を深めるために少しまとめてみた。

①昔は決められた目標をどうやって実現するか?でも今はそもそも何を実現するか?という問いを立てることが必要。どちらの方向へ進むのか?その意思決定を求められる。

言わば「塗り絵を塗ること」から「白地に描くこと」へ役割が変わった。正直これは難しい。上司の背中を見て、いずれ自分がそうなる。そのお手本はもう役に立たないのだ。

②今の時代の管理職は、なかなか決められない。世の中に流れる情報が格段に多くなっても、どれが最適な情報か?その情報がないから判断できない。情報がない中でどう判断するか?もちろん失敗もあるが、そのリスクまで取ることが管理職の役割になった。

③ではその情報をどう得るのか?プレイングマネージャーになることである。質が高い情報は現場にある。これは管理職の上長の判断を得るためにも必要。しかし、合わせて部下に使う時間はしっかり確保する。部下にあったコミュニケーションをする時間と覚悟が必要になった。

④「リスクがある」という思考停止ワード。何もやらないことがリスクになることもある。リスクがない環境などない。やることはやって「クビにするならしてみろ」の腹が据わっていないとできない。

昔の管理職は精神論を述べていればよかった。でも今はアクションが必要になった。

⑤日本型と欧米型の管理職の違い。「こっちに獲物がいると思う」と走り出す狩猟型リーダーは欧米型。今いる場所で「じっくり米を育てていきましょう」という農耕型リーダーは日本型。

終身雇用の共同体でやってきた日本。みんなでやるから、グイグイ引っ張るリーダーはいらなかった。でも、今は自ら動いていく必要がある。

そして暗黙の了解という、相互不可侵条約の締結。縦割りで他の部門に問題があっても「うちの守備範囲でない」として侵略しない。昭和の会社は日本的なムラの世界でもあった。

これらは昔と今の違いだけでない面白い考え方。その過程にドップリ社会人経験をしている自分には良く理解できるもの。

⑥チーム全員賛成メリットはもうすでにない。多様なメンバーで構成されたチーム。いろんな生き物で構成されるチーム自体も生き物のようである。ギクシャクもあるけど結果的に組織は強くなる。そう仕向けて行くのが今の管理職。ノーと言える雰囲気を作り、ゴタゴタをまとめる管理職が評価される。

これは本文中にも記載はあったが、映画「十二人の怒れる男」を見ると良くわかる。以前わたしも見た映画で同様の思いを持った。日本版にした三谷幸喜の「12人の優しい日本人」はもう少し身近に感じられるものだ。


こんなに大変!今の管理職は!

「管理職にはなりたくない」とういう部下も相変わらず多いと聞く。

ただ、この本に書かれた内容は、先に書いたように、管理職だけでなく、管理される側にとっても、大変参考になるものである。

リーダーシップは、もはやリーダーのものだけではない。令和は組織におけるもの全員が身につけることが必要になっている。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?