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摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~「痩せたい」と「食べたい」のその先へ~23


波の音を聞くのも好きだった。嫌なことやどうにもならないことを、波がきれいさっぱり洗い流してくれる……そんな感じがした。

そうか……だからあの日、気が付いたら御宿にいたのかもしれない。無意識のうちに摂食障害で辛く、苦しい毎日をきれいさっぱり洗い流したかったのかもしれない。

御宿とは違い『真っ白な砂浜、真っ青な海』とまではいかないけれど、微かに聞こえる波の音が心地よかった。

周りを見渡すと、芝生の上で思い思いに寛いでいる家族連れもちらほらと見かけた。

今日は暖かくて絶好の行楽日和だけれど、こんなご時世だからか多くの人で賑わっている、とまではいかないようだ。

「でも、人出が少ない方が私にとっては都合がいいかも。御宿ならともかく、こんな都心の公園で30前の女が一人でレジャーシート広げて海を眺めているのって、冷静になって考えてみると何だか寂しい『画』だものね」

私ももっと友達とかに連絡を取って、人と会った方がいいのかな……それは確かにそうなのかもしれない。けれど今の私は、自分で自分の世話をすることで精一杯な状態で、心にゆとりがないと、なかなか連絡を取ろうという気になれない、というのが正直なところだった。

『○○でなければ気が済まない』とか『拘り』とか『完璧』とか『完璧』とか……そんなことばかり追いかけて、自分で自分を追い詰めてしまう『自分』の世話をすることで精一杯なんて……これって一人相撲って言うんだっけ?私って、いつまでこんなことを続けるのかしら。


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