摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~「痩せたい」と「食べたい」のその先へ~126
「それでね、紗希さんも何となく想像は出来ると思うけど、そういう業界ってお酒を飲む機会が結構あるのよ」
「そうですよね、打ち上げとか、パーティーとか、多そうですよね」
テーブルには、ワインのボトルが運ばれてきた。
「お待たせいたしました。カモミ カベルネソーヴィニヨン ナパヴァレーでございます」
お次のワインは赤だった。ワインのことは良くわからないけれど、グラスに注がれた瞬間に微かにいい香りがした。
「そうなの。それでね、パーティーなんかだと始めはシャンパンで乾杯して、それから白とか赤とかロゼとか、ワイン片手に歓談と言う名の営業、というか『売り込み』大会になったりするの」
「そうなんですか?『売り込み』大会……」
「そうなの。それより紗希さん、とりあえず乾杯しましょうか」
今度は、新山さんに倣ってグラスを持ち上げて軽く会釈をした。
一口飲んでみる。しっかりとした味わいで、酸味はそれほど強くなく、微かな甘味とコクが感じられた。さっきの白ワインじゃあないけれど、こんなにおいしい赤ワイン、今までに飲んだことないかもしれない。
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