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摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~元摂食障害当事者からのメッセージ~㊽


自分のことを、根本的に、あるいは劇的に、180度変えることは、もしかしたら出来ないのかもしれない。仮にそうなれば、もしそうすることが出来れば、摂食障害も劇的に良くなっていくのかもしれないけど、現実にはそんなことはなかなか出来ることじゃない。先生は、そのことがわかっていて、それで(今出来ることに集中すること)や(今出来ることを一つづつ積み重ねる)ことをするように、って言ってくれてるのかもしれない・・・

「私の考えることは、同じところをぐるぐると、行ったり来たりしているだけ、のような気がする・・・」

心の状態が良かったり、ほんの少しでも余裕がある時は、物事を前向きに捉えることが出来ても、ちょっとしたことで、すぐに落ち込んだり、ダメな自分を責めたり・・・結局、入り口も出口もない螺旋階段を昇ったり降りたりしているような、いつまでたってもどこにも辿り着けないのではないか、という無力感を感じていた。

「先の見通しが全く立たないし、いつ良くなるのかもわからないし、摂食障害は本当に孤独な、自分自身との戦いみたい・・・」

次に先生のところに行くのは、まだ数日先だった。それまで、どうやって過ごそうか、ぼんやりと考えていた。

「気分が上がってる時は、いろいろ考えることが出来るんだけど、ダメな時は本当にダメ・・・何も頭に思い浮かばないし、だんだんイライラしてくるし、食べたくなってくるし・・・」

部屋にある時計の秒針を、しばらく目で追いかけていた。ぱっと見歩みは遅くても、実は確実に時を刻んでいるあの時計の秒針のように、私の心も、身体も、考えも、そして行動も、確実に前に進んでいるのか、いないのか。何もない空間で、何かを必死になって掴もうと、あちこちに手を伸ばしても空を切るばかりのような、そんな虚しさが胸に溢れてきた。

「何一つ確信めいたものが感じられないから、余計に不安になってくるのかな・・・」

結局、(今出来ることを一つづつ積み重ねる)ことしか、ないのかもしれなかった。

「もう、食べたいんだったら、不安な自分を振り切って、切り替えて買い物に行こうかな」


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