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摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~「痩せたい」と「食べたい」のその先へ~187


「値段もそうだけれど、コルクっていうことで何かおいしそうな気がする」

冷蔵庫を確認すると、ワインも多少冷えてきていた。これならまずまず飲み頃かな、なんて思いながら慎重にコルクの蓋を開けてみることにした。

「なかなかうまくいかないなぁ」

慣れていないから当然なのだけれど、コルクの中心にうまくスクリューを差し込むことが出来なかった。途中で気が付いて修正しようとしたけれど、コルクが折れてしまいそうだったので、諦めてそのまま差し込んでいった。コルクを引き上げる時には、なるべく真っ直ぐに持ち上げるように慎重に抜いた。

「ふぅ、何とか途中でコルクが折れることは避けられた」

家にワイングラスはなかったので、普通のコップに注ぐ。ワインは、初めに注ぐときに独特の『音』がして、それがまた何とも言えない。

「乾杯!」

お一人様だけれど、乾杯は言うようにしていた。一口飲んでみると、濃厚で酸味はそれほど強くなく、しっかりと葡萄の味が感じられた。

「あぁ~おいしい」

お皿に盛ったチーズをおつまみにしておいしい赤ワインを飲んでいると、いつもと変わらない殺風景な部屋にいることを忘れてしまうほど、ほんの少しリッチな気分に浸ることが出来た。


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