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摂食障害の長い長いトンネルを抜けて~「痩せたい」と「食べたい」のその先へ~160


玄関を出て駅に向かって歩き始めると、射すような太陽の光が痛いほど強烈に降り注いでいた。

なるべく日陰を探して、道路の端っこを歩いた。日傘を差している人もいるけれど、何となく慣れなくて持ってはいなかった。

「でも、多分日傘でもあれば暑さの感じ方も随分と違うんだろうな」

これから行くショッピングモールで、適当なものがあったら買ってみようかな……そんなことをぼんやりと考えていた。

やっと駅に着いた。構内は日差しがない分少しは暑さが和らいでいる。けれど、歩いてきた分の汗が首筋に伝わってくる。

ハンドタオルで汗を拭きながら、ホームで電車を待っていた。

いつだったか……摂食障害が一番酷かった頃、過食嘔吐が辛くて、辛いのにやめられない自分が嫌で、もう何もかもが嫌で嫌でたまらなくて、全てを終わりにしたいと思ったことがあった。ホームの一番前に立って、電車が入ってくる度に『ここでもう一歩踏み出せば、全てが終わる。辛いことも、嫌なことも何もかもが無くなる』って思ったけれど、怖くて、私にはその『一歩』が踏み出せなかった。何本も何本も目の前を電車が通過していく度に『私には終わらせることすら出来ないんだ……』って思って、絶望して、どうすることも出来なかった……そんな自分を思い出していた。


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