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「創作活動」と「美術活動」

最近やたらとコミティアとかデザフェスとか言ってますが一応理由みたいなものはあります。


先日は初めて東京の本場のコミティアにも行ってきた。関西では関西コミティアという関西版が以前から開催されており、そちらには度々見に行くこともあるのだが、東京は初。全4000サークル。関西コミティアは大体7,800サークルなので5倍です。足が棒になる程歩きました。


「作家さんを探しにきたんですか?」とギャラリーを経営している手前言われるわけですが、そうではなくて普通に見に行きたいのと、かっこよく言えば市場調査的な感じです。現地でしかわからない熱気や、体験をしたかったから、という感じです。



さて、数年前にコロナによるパンデミックが世界的に起きた際に日本のアート界隈でも金余り需要のプチバブルが訪れました。

数百数千万円の市場から、僕のような小さな小さなギャラリーでも、今までやりとりしたことのない海外のお客さんから沢山のDMを頂きました。

説明するまでもなく、全世界でロックダウン状態になりほぼ全てのイベントというイベントが開催できなくなり、リアルで求めていたものが求められなくなって、全ての人がオンラインで繋がるようになった。

海外の富裕層はインスタをはじめとしたSNSで情報を探し作家個人に直接DMを送って売買する。


僕のギャラリーにも今までやりとりしたことのないコレクターとのやりとりが始まり、大阪なんかでは到底売れないような(失礼)価格の作品も売れるようになりました。単純に、ありがたかったです。

そしてそれまで日の目を浴びなかった多くの作家がそこで見出されることになりました。これは個人的な体感ですが。



パンデミックが落ち着き、オンラインで作品を求める声も落ち着き、日本では加えて止まらない円安、物価高。賃金上昇の遅れも目立ち多くの家庭で経済的な負担が増加していると言われています。


長らくオンラインが活躍の場だった作家たちはリアルを取り戻すために現場へ戻る。コロナ禍で自分たちの作品が消費されるように求められたことに違和感を感じた作家が多かったからだろうと思う。デザインフェスタやコミティアといったイベントは2023年2024年にかけてようやくコロナ前の水準にまで参加数が戻ったようです。


2000年代に村上隆がオタク文化の概念をもとに「スーパーフラット」という概念を提唱したが、その頃のオタク文化は主にサブカルチャーとしての側面が強調されていたし、社会的な疎外感を持つ方が多かったように思います。


今その頃のサブカルチャーと呼ばれるものの数々はより細分化されニッチであるものの商業化、メインストリーム化され、世界的にも多くの人に受け入れられるようになりました。


作家としての初舞台がオタク文化の一端であった一次創作と言われる舞台であるコミティアでの発表ということも当たり前のようになりつつある。


オタク文化から生まれた「創作活動」なのか美術史や美術批評までを前提とした「美術活動」なのか、


その境界はどんどん曖昧になりつつありますが、その大前提などはむしろ関係なく、「創作=好きなものをとことん追求する表現」「美術=美術史や美術批評を前提とした表現」との両方を兼ね備えたハイブリッド型が今最も認められた活動なのかもしれないな、と思ったりしています。


そういった人は限定的にはなりますが、アート業界で活躍しつつ、リアルな創作イベントでファンとの直接交流を楽しむことがより重要なのではないかなぁと思ってます。


現在アトリエ三月で開催しているtelepathyという企画展は多くの作家が2000年代以降の生まれであり、作品を作りつつ、低価格なグッズを通してファンと無言のコミュニケーションを図るという意図のもと2人の若い作家に紹介してもらった24名の作家で構成されています。


今までで年齢層が一番若いのはいうまでもなくそんな方々とお話しをさせていただいてとても刺激を受ける日々です。





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大阪で絵画制作や美術活動をしつつ、ARTspace&BARアトリエ三月を運営しています。サポート頂いた分は活動費やスペース運営費として使用させて頂きます。全ての人がより良く生きていける為に 美術や表現活動を発信し続けます。