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(ビンテージアメリカ菓子①)北欧由来のクッキー「クルムカカ」レシピ

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初のレシピ記事です。旬の果物をたっぷり使ったりスパイスを効かせたり。滋味なるアメリカ家庭菓子のレシピを少しずつご紹介していきます。

「ビンテージアメリカ菓子」のタイトルの記事では「古くから愛されてきたアメリカ菓子」や「ちょっとレアな菓子情報」を書いていく予定です。(ちなみに次回はコブラーのレシピの予定です。)


そのままでも生クリームを絞り出しても

「クルムカカ」って何?

先日公開した「(本の話1)あれから12年-「コブラー」を伝えるチャンスがもう一度やってきた」も似たような書き出しでしたが、「○○って何?」は、特に「ビンテージアメリカ菓子」の記事の中でこれからも何度も登場すると思います。

さてさて、昨年9月に上梓した『アメリカ菓子図鑑』では、中西部の章で型の写真と説明だけ載せた「クルムカカ(クラムケイク、もしくはクラムカカとも)」。ノルウェー系アメリカ人が伝えたワッフルクッキーです。クルムカカとは「弓形のケーキ」に由来する言葉で、その名の通り焼き上がったクッキーをクルリと巻くのが特徴。型の内側に押された美しい模様も印象的です。

特にクリスマスの時期の菓子として知られ、中でも北欧でよく使われるスパイス、カルダモンで風味を付けたものはクリスマスシーズンにぴったり。コクのあるコーヒーにもよく合います。薄く焼いたクルムカカはカリカリ、サクサク、そしてホロホロ!そのままでも美味しいのですが、巻いた筒の中に生クリームとフルーツなどを詰めれば見た目にも華やかなデザートになります。

この型を持っている方は(アメリカでも)多くはない・・・というかほとんどいらっしゃらないのではと思います。書籍の限られたページ数を、極めて需要が少ないクルムカカのレシピに割くことはできなかったものの、焼くのは楽しく食べるとおいしいので、ぜひ知っていただきたい。焼き方の動画だけでもワクワク感が伝わるのではないかと思いインスタグラムで公開したところ、思いのほか多くの方にご覧いただけたことに気を良くし、noteにレシピを書くことにしました。インスタグラムへのリンクを張り付けておきます。型をお持ちでない方も、ぜひ動画をご覧になり頭の中でお楽しみいただけたらと思います。

私が使っているクルムカカの焼き型は1946年創業のノルディックウェア社のもの。アメリカ中西部で北欧の菓子型などをつくってきた会社です。同社以外にもいくつかのメーカーでつくられていますが、全米でメジャーな菓子ではない分、型もどちらかというとマイナーな存在です。

クルムカカの型で挟み焼きした生地を、棒にクルリと巻き付けます

この菓子どこかで見たような?

このお菓子、既視感がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。ワッフルクッキータイプのアイスクリームコーンやイタリアのピッツェル、フランスのゴーフレット・マコネーズにも似ていますね。

私は最初にクルムカカの型を見たとき、岐阜の老舗、田中屋せんべい総本家さんのみそ入大垣せんべいの焼き型が頭に浮かびました。
また、私は2019年から2020年にかけてインドネシアで暮らしていたのですが、そこでオランダ由来の類似の菓子を発見。型を見たくて友人にパサール(市場)に連れて行ってもらい、下記の型を買い求めました。

ジャカルタのパサール(市場)で見つけた型と菓子。
左上はクルムカカそっくり!

写真左上の菓子の材料は卵と砂糖とサゴ粉、ココナッツミルク。味はココナッツ風味のクルムカカといった感じです。パサール(市場)ではオランダ由来のワッフルクッキー「クエ・センプロン=kue semprong」や西ジャワのチルボン由来の「クエ・ガピ=kue gapit」が焼けると説明を受けました。世界中にクルムカカの仲間のような菓子がありますね。

インスタグラム、または下記YouTubeでクルムカカのつくり方の動画がご覧いただけます。

材料はこれだけ。カルダモンはなくてもOK

「クルムカカ」レシピ

◇材料(約15個分)
・卵 L玉1/2個
・グラニュー糖 40g
・バター 30g(食塩不使用、溶かす)
・薄力粉 50g
・牛乳 65ml
・カルダモンパウダー(オプション) ひとつまみ
・生クリーム(オプション) 適宜
・フリーズドライラズベリーパウダー(オプション) 適宜

◇つくり方

滑らかな生地をつくる

手順1:生地をつくる
ボウルに卵、グラニュー糖、溶かしたバターを加えて泡立て器で混ぜる。泡立てなくてよい。薄力粉(好みでカルダモンパウダーも)をふるい入れ、泡立て器のまま大きく混ぜる。牛乳も加えて滑らかになるまで混ぜる。

型を温める

手順2:型を温める
クルムカカの型をガスコンロの五徳の上にのせて(小さな五徳では不安定で危険です。しっかり安定させた環境でお使いください。)弱火で温める。水を数滴垂らしてパチパチと弾けたら準備完了。
火傷注意。金属部分は絶対に素手で触らないでください。

生地をのせて型を閉じる

手順3:生地を焼く
焼き型を開き、ハケで内側全体に薄く植物油(分量外)を塗る。型の中心に生地を小さじ2程度のせ、すぐに型を閉じて取っ手をしっかり握る。
*植物油を塗るのは最初の1回だけでOK

裏返して反対側も焼く

手順4:生地を裏返す
適宜型を開いて確認し、焼き色が付けば裏返して反対側も焼き色が付くまで焼く(弱火から中火)。

へらですくい、手早くコーンへ移す

手順5:へらですくう
焼けたらへらですくい、すぐにコーン(木の棒)へ移す。焼き上がり後はすぐに固くなるので手早く作業する。

すぐに固くなるので手早く巻く

手順6:丸める
焼き上がった生地をコーンに巻き付けて形作る。すぐに固くなるので手早く作業する。
火傷注意。コーンに巻き付ける際は素手ではなく清潔な軍手を使うことをおすすめします。

そのままでも生クリームを絞っても!

手順7:仕上げる
焼き上がった生地はそのまま食べるほか、筒状に巻いた中に泡立てた生クリーム(生クリーム100mlに対してグラニュー糖小さじ1/2を加える)を絞り出し、ラズベリーパウダーをふるなどして食べるのもおすすめです。

◇ポイント

☆湿気やすく壊れやすい
湿気やすい菓子のため、空気の乾燥した時期につくり、乾燥剤を入れた密閉容器で保管するのがおすすめです。*もろく割れやすいため保存袋は向きません。
☆カルダモンパウダー
カルダモンパウダーはなくても構いません。
☆生クリームは食べる直前に
元々湿気やすい菓子ですが、生クリームを中に詰めるとさらに湿気やすくなります。食べる直前に詰めましょう。

※無断転載、複製等は固くお断りします。

クルムカカの載っている本のこと

昨年9月に発売した『アメリカ菓子図鑑』はおかげさまで増刷されました。クルムカカ/クラムカカ/クラムケイクも載っていて、その地域のお菓子について歴史的背景も紐解いています。

次回はコブラーのレシピをご紹介する予定です。どうぞお楽しみに!

(追記)チェリーコブラーのレシピを書きました。お読みいただけましたら嬉しいです。

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