卵子凍結、選択肢の一つに キャリア形成と出産両立 企業後押し/晩産増の懸念も

2019年9月23日(月)付

 #NIKKEI

(以下一部転載)
キャリアを理由に当面は出産を希望しない女性たちの間で、若いうちに卵子を凍結して保存する動きが広がり始めた。出産の先送りを促すなどの懸念もあるが、キャリア形成と出産を両立する選択肢として注目を集めている。…

田中美春さん(仮名、40)は2019年夏、卵子凍結を2回試みた。4月に昇進したばかり。「出産にタイムリミットがあるからと慌てて結婚したくはなかった」と話す。妊娠の確率を高めるため年齢と同数の卵子の保存を目指し、あと数回採取する予定だ。…

女性の卵子のもとは胎児時代につくられて一旦貯蔵される。生殖年齢に達すると成熟が進み、毎月ほぼ1つずつ排卵されて妊娠に備える。加齢に伴い卵子は老化が進むため、成熟の過程で染色体の異常が起きやすくなると知られている。異常が起きると、流産や生まれた子が先天性の病気を持つ確率が高まる。

卵子凍結を受けるときはあらかじめ排卵誘発剤を打っておく。当日は麻酔をかけて注射器のような機器で複数個の卵子を取り出す。採取は5~10分だが3、4回以上の通院が必要になる。費用は全額自己負担で約50万~80万円だ。…

企業による支援策も広がる。米国では14年以降、フェイスブックとアップルが補助金制度を導入したことを皮切りに、現在数十社が採用済みだ。国内ではPR会社のサニーサイドアップが15年、補助金制度を始めた。社員の卵子凍結にかかる費用の3割を同社が負担する。既に2人が利用した。…

行政の支援例もある。順天堂大学浦安病院(千葉県浦安市)は15年度から3年間、浦安市の補助金を卵子凍結の助成金に充て、計34人の女性の卵子を凍結した。…

医学界の意見も分かれている。日本生殖医学会は13年、年齢制限を設けたうえで社会的理由による未婚女性の卵子凍結を認めるガイドラインを出した。一方、日本産科婦人科学会は15年、健康な女性の卵子を凍結保存することを推奨しないと表明した。

東大病院(東京・文京)は病気以外の理由で卵子凍結を受け付けていない。産婦人科の原田美由紀講師は「受精や着床、育成などハードルは多い。複数凍結しても妊娠の保証はない」と指摘する。

卵子を若返らせる技術はまだない。船曳医師は「若い卵子を使えば妊娠率は高まる一方で、高齢の妊娠は高血圧や糖尿病などが起こりやすくなる。長所短所を認識した上で、自ら可能性を切り開きたいという人を応援したい」と話している。

女性にとっては、とても難しい選択ですね。人口減少社会において人口を維持すること、イコール国を維持することに繋がりますので、若い年齢から定期的に卵子を冷凍保存できる保険制度がベーシックインカム制度以上に重要だと言えるのではないでしょうか。そのためには、量が質を変えるスケールメリットがKFSになると私は考えます。

頂いたサポートは、書籍化に向けての応援メッセージとして受け取らせていただき、準備資金等に使用させていただきます。