マシュー・カサイ

好きな風景を好きなようにアレンジして主に油彩で描いています。 朝陽や夕陽、月の光など一…

マシュー・カサイ

好きな風景を好きなようにアレンジして主に油彩で描いています。 朝陽や夕陽、月の光など一瞬で変わっていく風景。百貨店での展示も時々やってます。noteの投稿のため水彩画を多く描き始めました。

最近の記事

優しい光の中で

ふと見つけたカフェに入ってみた。 初めてのお店に入るときは少しどきどきする。 暗く落ち着いた店内の奥にテラス席が見えた。 迷わずその席を選び、こんな時期でも熱いコーヒーを注文。 壁一面にモッコウバラが咲き誇り、観葉植物も多く気持ちがいい。 今日は割と涼しく、エアコンの効いた室内より外の空気の方がくつろげる。 読みかけの本と、香りのいいコーヒー。 白いテーブルクロスの上にそれだけがある。 曇りがちの空からまだら模様に優しい日が差し込む。 テーブルにも日陰模様が

    • 6月の風  雨のち晴れ

      鬱陶しい雨が止んだようだ。 外に出ると、まだ雨のムッとする暖気は残っていた。 しかし、徐々に明るくなって湿気は流れていった。 まだ水たまりのある道を歩くと6月の気持ち良い風が吹いてきた。 風の流れる方向には、雨を降らせていた黒雲が追われるように去っていく。 この時期の晴れた日は本当に気持ちがいい。 たっぷりと水を吸った紫陽花や木々が風に揺れている。 光を受けた花や葉が輝く。 街にも傘をたたんだ人々が多く出てき始めた。 みんな空を見上げ、輝く初夏の光に目を細め

      • 夜の匂い  夜気を吸い込む

        夜の匂い しっとりとして、どこかホッとするような気持ち良さ。 ああ、もう今日も夜が来た。 昼間の世界の現実感が薄れ、大気の中にかすかな夜の匂いが混じり始める。 夜気を吸いに、夜空を楽しむために、高いところへ行こう。 月の儚い光の中、薄い闇が世界を覆う。 この闇の色は不思議を多く含む色。 昼の雑事に疲れた体が、少しずつ軽くなる。 ひんやりした夜気を胸いっぱいに吸い込む。 頭と体のどこかに、脈打つ赤い血に、野生の力が少しだけ蘇る。 気分が高揚し始めたら月に叫ぼ

        • 海辺のディナー  ビーチレストラン

          以前よく南の島に旅行した。 ホテルのビーチには夕方からテーブルや椅子を出してレストランが設置されてた。 昼はビーチに寝そべったり、海に潜ったりホテルの部屋で昼寝したり。 海と空を思いっ切り楽しむために、観光やゴルフなどすべて断っていた。 特に楽しみだったのが、このホテルの夕方だけのビーチレストラン。 オープンすると一番乗りして好きなテーブルをとっていた。 昼間は大勢の海水浴客で賑やかだったビーチも夕方は人が少なくなり涼しい風が吹き始める。 籠に入れた花々がテーブ

        優しい光の中で

          紫の風  紫陽花の寺

          目の前に広がる赤紫や青の花の群れ。 濃く鮮やかなものから優しいパステルカラーまで。 昨日たっぷり降った雨を吸い込んで弾けそうな瑞々しさ。 初夏の空から眩しい日差しが降り注ぐ。 山の青さとお寺の古く黒ずんだ塔。 そこにこの彼岸のような夢の色。 紫陽花寺はこの時期、最も彼岸に近い。 見つめていると紫陽花の花は少しずつ色が変わっていくような気がする。 山から吹き下ろす風に揺れる花の影から誰か懐かしい人が歩いてきそうだ。 紫陽花に囲まれながら歩いていると、思い出が溢

          紫の風  紫陽花の寺

          花とコーヒーの香り  花の喫茶店

          そこはまるで花に埋もれたような喫茶店だった。 入り口から屋根近くまで花に覆われている。 花の香りに交じってコーヒーの焙煎の匂いがした。 五月晴れの気持ちのいい天気の中、歩くこともまた楽しい。 ちょっとここで休憩しよう。 まだ空調が必要なほど暑くないので窓辺の席に座り、外の花を眺める。 手入れが行き届いた花々は、元気いっぱい花や葉を広げている。 溢れ出る花の生気で元気をもらえた。 ちょっと疲れた体に、いい香りのコーヒーも嬉しい。 窓やドアから入って来る初夏の風

          花とコーヒーの香り  花の喫茶店

          花の迷宮 lost in paradise

          広大な薔薇園を歩いている。 園内は様々なバラやその他の様々な花で埋め尽くされている。 満開の花が多い。 花々の最盛期の力。 くらくらするほどの香りと色彩。 穏やかな日差しを受けて花々が輝く。 バラのアーチや壁で園内はまるで迷宮のよう。 人通りはなく、静かに時が過ぎていく。 目の前には風に揺れる花々と、たくさんの蝶。 白日夢のような不思議な雰囲気。 このまま誰にも出会わず、出口にもたどり着かなかったらいったい私はどこへ行ってしまうのだろう。 ぼんやりと、と

          花の迷宮 lost in paradise

          神々しい朝日

          数年前、仕事で南海の久米島に数日滞在した。 その時の思い出。 もう季節は秋でオフシーズン、ホテルも閑散としていた。 仕事やその他のストレスで不眠も続き、体調はあまり良くなかった。 ある日、小鳥の元気な鳴き声で目が覚めた。 外はようやく明るくなり始めている。 海岸へ行ってみよう。 歩いてすぐのところにきれいな海岸があったはずだ。 ロビーを通らず、中庭から海岸に向かった。 南の島らしいむっとするような植物の匂いに包まれ、砂地の小道を歩いた。 ヤシのような木々を

          夜の花  段違い藤棚

          夜の花を見ていた。 月の光に妖しく輝き、闇に香気を流す。 幾段にも重なる藤棚に、無数の藤の花房が細く長く垂れ下がる。 私は虫のように幻惑され引き寄せられ、恍惚として見惚れる。 時の流れは緩やかになり、月の光だけが柔らかく降り注ぐ。 物にさえ付喪神が宿るこの国、数百年を経たこの木に何かの神が宿っていても不思議ではない。 そうでなければ、この滝のような花は咲かないのではないか。 彼岸でしか見れないような不思議な花。 月の光で見るその花の色は妖しさを増し、周囲の空気

          夜の花  段違い藤棚

          道草の楽しみ 光のテーブル

          外出の用事が終わった後、道草するのが好きだ。 時間に余裕があれば、知らない脇道に入るのがいい。 知らない街角。 何となくドキドキする。 面白い建物、不思議なお店、きれいな花壇、立派な豪邸、廃屋、何かの工場、暗い裏路地、懐かしい下町、小さな神社、子供たちの遊ぶ学校・・・ 初めて見る景色は気持ちに刺激を与えてくれる。 こういう時は一人がいい。 そっと覗く知らない人たちの世界。 どんな人たちが何をしているんだろう。 すれ違う人たちの会話まで耳に入って来る。 面白

          道草の楽しみ 光のテーブル

          天空カフェ 忘れていた景色

          テレビに映し出された景色を見て息をのんだ。 この景色。 見たことがある。 雄大に広がる空と、鏡のようにそれを写した浅い水面。 どこまでも広がっている。 テレビの声はボリビアのウユニ塩湖の景色と言っている。 そんな場所は知らない。 夢だ。夢の中で見た景色だ。 完全に忘れ去っていた。 記憶の深く暗い海の中から、突然鮮やかに蘇った景色。 思い出した。 あるとき、私は広い海岸のような場所でテーブル席に着き熱いコーヒーを飲んでいた。 これは夢だろうという認識はわ

          天空カフェ 忘れていた景色

          光のどけき春の日に

          目の前を、黄色い帽子をかぶった園児たちが先生たちに引率されながら歩いている。 スズメの群れのように賑やかだ。 大きな声を出す子、歌を歌っている子、笑いあってる子、見てて飽きない。 つい、あとをついて行きたくなった。 温かな午後、今日は日差しが眩しい。 陽気な子供たちに影響されて、私も楽しい。 一緒に歌って、歩きたくなった。 歌を口ずさみながら大きく手を振っていると、なんだか目線がどんどん低くなってきた。 気付けば手も足も小さく、子供になっている。 顔を触れば

          光のどけき春の日に

          春爛漫 桜吹雪に思いを乗せて

          朝は黄砂で黄色く空が濁っていた。 春霞というような美しい色ではなかった。 軽い落胆を感じる。 それでも春。 気軽に散歩に出て、川端の桜並木を見に来た。 ちょうど両岸の桜は満開を迎え強く吹き始めた風に花びらを飛ばしていた。 桜吹雪。 空を覆っていた黄砂は風に追われ、春らしいのどかな青空が見え始めた。 この場所は、両岸に桜が並び、豪華な眺めとなる。 今年は、天候不順のせいか桜が散るのが早い。 この夢幻のような桜吹雪を見るのが好きだ。 他の花と違い、茶色く枯れた色を見せる

          春爛漫 桜吹雪に思いを乗せて

          月夜の枝垂れ桜  

          今年も会いに来た。 大きな大きな枝垂れ桜。 周りにも、桜の木が並ぶが、この桜の木は別格の大きさだ。 初めて見たとき、桜とは思えなく、静かな滝か雪の山のように見えた。 時間を忘れてずっと桜と対峙していると、周りは無音になり雑念は消えた。 何も言葉に出したくなく、ただ感動で動けなかった。 今年は夜に桜に会いに来た。 ゆっくり歩を進める私の前に、白い巨人が現れたようだった。 大地にどっかと腰を下ろした白い巨人は、静かに私を見ている。 白く長いひげの奥に優しい目をした長老。 長い年

          月夜の枝垂れ桜  

          風を切って陽光の中を

          乗れた! 確かに自分の足でスケートボードに乗って走っている。 足裏に伝わる振動も心地いい。 左右にローリングしながらスピードを上げる。 上からの日差しが時々眩しい。 道の両側は春の花がいっぱい。 山側の木々も新緑が輝いている。 ポカポカ天気の中、緊張に少し汗ばんでスケボーを飛ばす。 ガーッと音を立てて疾走するボード。 少し余裕が出て、空や道の周りを眺める。 うーん! 久しぶりの快感に笑みがこぼれる。 揺れながら後方に飛ばされていく景色。 同じスケボーの人を何人か抜いた。

          風を切って陽光の中を

          休日の午後  青空に乾杯

          何もしないと決めた休日の午後。 外の明るさに惹かれてベランダに出た。 やはり外は気持ちがいい。 風になびく髪も、風の肌触りも暖かさを感じる。 目に眩しい日の光と青空の深さ。 思わず深呼吸。 思いついて部屋に駆け戻り、缶ビールとグラスを持ってきた。 シュッと軽快な音を立てて缶を開け、黄金色をグラスに注ぐ。 思わず笑顔でアハハと声に出る。 たまには昼間っからビールもいいな。 大空と輝く雲にグラスを差し上げてありがとー!気持ちいいー! 光を通したグラスのビール

          休日の午後  青空に乾杯