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【 日記 】 笑顔の表彰式

数日前、とあるエッセイの賞をいただき、その授賞式に行ってきました。久々に遠方に行くとあって、早くから楽しみに待ちわびていたイベントでした。

当日、意気揚々と現地の地を踏むと、そこは地理が全く分からない場所。必死に地図とにらめっこし、バスの乗り方を現地の人に聞きながら、ようやく会場に着いたのは集合時間ぎりぎりでした。

来たことのない土地で道を探しながら目的地へと向かう。こういうのがまた楽しくて旅行の醍醐味なんだよなあ、などと感慨に耽りながら無事、会場に辿り着くことができました。

式は県の文化ホールを貸し切り、県民の方々を大勢招いてその方々の前で1つ1つの作品を朗読発表していくというイベント形式で行われました。

会場に着くとホールは人で埋め尽くされ、県をあげてのイベントであることを実感しました。県民の方々も毎年楽しみにしているイベントのようです。

簡単なリハーサルの後、幕が上がり、式が始まりました。高校生から70歳代の方まで幅広い年齢層の方が書かれたエッセイ約10点の朗読が始まりました。

エッセイのテーマは「笑顔と感動」。そのシンプルなテーマにまつわる話を書いたものでした。最初の方の朗読が終わった時、「なるほど、これは面白いイベントだ ! 」と思いました。

自分以外の方の書いたエッセイを聞くことができる。しかも様々なバックボーン(背景)を抱えた人たちの作品。これほど贅沢なことはありません。

私の書いたエッセイは朗読の対象からは外れていたため出番はありませんが、もう胸のわくわくが抑えきれません。

朗読された作品は私の期待を上回る素晴らしいものばかりでした。それぞれのエッセイに1人1人の人生があり、物語がある。思わず聞き入り、何度もうなずかされ、最後には涙腺まで緩みっぱなしでした。

子育て、介護、日々の生活、通勤風景など様々な場面で感じたことなどを飾り気なく素直な表現で語られていたところに胸を打たれました。

あるnoterさんの言葉を借りるなら、「どんな綺麗な言葉よりも素直な気持ちを表現したものに勝るものはない」のです。

また、文章の読み方の中にも、声の強弱、発音、間の取り方などに書き手の思いがよく表れていて、その思いがこちらにもしっかりと刺さってきました。この辺りは朗読特有の魅力なのでしょう。

決してドラマチックな経験というわけではないにも関わらず、書き手の気持ちの揺れ動きを通して1つの筋書きのないドラマを聞いているような、温かく、切ない気持ちになれたエッセイが多かったように思います。それくらい、このnoteをされている方々にも聞いていただきたいくらい、感動的だったのです。

自分以外の方が書いた文章がなぜこれほど胸に響くのか、それはやはり文章を通してその人の人生の一端に触れることができるからなのだと思います。小説の主人公に深く感情移入する、その感覚に少し似ているところがあります。

その人の置かれた状況や思いを想像し、心の琴線に触れた瞬間の感情の動静を追体験する。気づいたら自分がその出来事を経験したかのような感覚になり、うれしくなり、悲しくなり、楽しくなり、そして切なくなる。

そんな力が文章には隠されていることを今回あらためて感じることができました。だからこそ、これだけ大勢の県民の方々が足を運んでくださったのだと思います。1つ1つのエッセイが読み終わる度、会場全体が拍手とともにしんみりとした温かい雰囲気に包まれていきました。

「日常のちょっとした風景の中に、人の心を揺さぶるドラマがある」、そんなことをしみじみと感じさせてくれた素敵な時間でした。
エッセイを書く上で、というよりも、1人の人間として学ぶことの多い体験でした。

これほど貴重な機会をいただけたことは、また1つ人生の宝物となったように感じています。
運営を裏方で支えてくださった県職員の皆さまにも深く感謝しなければなりません。

私の書いたエッセイは朗読はされませんでしたが、もし朗読されていればまたここに書けるような新しい気づきや発見があったことでしょう。
我儘を言わせてもらえるなら、それだけが、ほんの少し心残りでした。

ともあれ、またとない「晴れの舞台」を存分に堪能できた1日となりました。

ちなみに今回はせっかくなので仕事の有給休暇を取り、現地の観光もしてきました。
景色も人も素敵なところで、「この県にしてこのイベントあり」という感がありました。

至れり尽くせり、贅沢三昧の数日でしたが、たまにはこんな日々があってもいいのかな、そんな風に思った一人旅となりました。

※※※

この写真でどこに行ったか分かる方はいらっしゃるでしょうか ? あえて少しぼかしています(⁠^⁠^⁠)




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