【 エッセイ 】 今日という日を少し特別な日に
朝日が眠りから醒めたばかりの目に眩しい。
今日も1日が始まる。長い長い1日だ。
思えばもう2月。月日の経つ早さに今さらながら驚かされる。
高校生の頃、数学の教師がよくこう言っていた。
「君たちは時間は無限にあると思っているようだがそれは大間違いだぞ」
今になってその言葉の意味をよく理解できるようになった。人生は有限だ。限りある時間を目一杯大切にしなければならない。
ただ、大切にするとはどういうことだろう。
毎日、家と職場の往復ばかりで変化もない。
新鮮な体験をすることもなければドラマチックな出会いがあるわけでもない。
そんな毎日の中に何らかの生きがいを見つけることなんてできるのだろうか。
色々と考えも巡らせた結果、とりあえず今できそうなことをやってみようと思い立った。
1日の終わりにその日あったことを思い出して書き出すという日課である。
朝、家を出る時に見た風景、電車の中にいた人々、職場で話したことなど、順番に思い出してみる。そうすると、意外と書き出せる事柄が多いことに気づいた。
同じ景色や人を見たり話をしていても、感じ方がその日その日で微妙に違うのだ。
昨日よりも明るく感じた空の色、新たな一面に気づいた同僚の言動など、どれをとっても昨日と全く同じということがない。
これはなかなか新鮮な気づきだった。
できれば書き出すだけでなく自分の記憶にも留めておきたい。そこで思いついたのが、今日1日に「○○の日」というように「名前」をつけていくということだった。
名前をつけると思い出しやすいし、何だか今日1日が少しだけ特別な日になる気がしたのだ。
一昨日は仕事帰りの夕空が以前より明るかったのが印象的だったので「春の訪れを感じた日」としよう。
昨日はnoteで親しくさせてもらっているフォロワーさんから記事に対するコメントをもらえたことがありがたかったので、「うれしいコメントの日」としてみようか。
今日は朝一番で食べたチョコボールに銀のエンゼルがついていたことで気分よくスタートを切れた日だったから「銀のエンゼルの日」にでもしようかな。
名前は何だっていいのだ。その時に思いついたものでも何でもいい。特に正解はない。
ただ、こうして1日1日に名前をつけていくと、何気なく過ごしている毎日が少しは楽しいもの、意味のあるものに思えてくるから不思議だ。
まるで無色の世界に色が広がっていくように毎日が個性を持ち始める。
いつもと何ら変化のないように思える毎日の中で、当たり前の中にある当たり前ではないことに、ささやかな喜びを感じる。そんなことが続けられるといいなと思う。
毎日を大切に過ごすということは、案外こうした身近なことなのかもしれない。
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