星と鳥と風~23 旅の途中

高速を飛ばして約1時間半
私は山口のとある陶芸家さんの家に着いた。
大事なお酒を持って、遅れてしまった申し訳なさが残る中お邪魔した。

着くと、広くてよく手入れされた庭で皆んなでBBQをしていた。
遅れてきた僕を快く迎え入れてくれて、沢山のおもてなしをして頂いたのだが、中でも手作りのチーズケーキは絶品だった。(私はチーズが大の苦手なのだが、これは別だ。)そして緊張しいの私だが、何故か心が落ち着く場所と人達で
この家の持ち主で陶芸家のRちゃん(男性)は、気さくで親しみやすい人でもあった。
多種多様色んな人がここをベースに面白い動きを起こしているようだ。
私より少し年上の兄さん姉さん達には【漂う余裕】と、少年少女のようにあくなき向上心に満ち溢れていた。そんな人々から出てくる話や言葉達は、どれもワクワクする内容ばかりで、私はお腹も心も満たされた。

そして
タバコに火をつけて
少しだけ冷えてきた夜風にあたりながら
これまでの旅をふと思い返していた。

するとRちゃんが、「DJしてるんでしょ?
うちでも何かかけてよ!蚊も増えてきたし、中で飲み直そう」と言って、私は急遽レコードをかける事になった。
そこにはターンテーブルでは無くレコードプレーヤーがあったので、私は1枚1枚、旅を思い返しながら【選盤】した。

しばしの間私達は、お酒と音楽と、お喋りを楽しんだ。
(Kが目を瞑りながら膝を叩いてノッていたのが、なんだか嬉しかった)
【この男が確実に、私の旅のキーマンだった】
Kがいなかったらこんなに愉快な旅には絶対になっていない。

【そうして夜は更けて行った】

帰って行く人もいたが、5人はここに泊まる事になった。無駄に神経質な私は、庭で車中泊をさせてもらった。と、言っても、Rちゃんと朝の4時まで語らいでいたのだが、、
話を聞くとRちゃんは陶芸家として独立するまでに、18年という下積み時代があったようだ。
18年..何の下積みもない私からしたら、途方もない時間のように感じた。しっかりとしたバックボーンを持つRちゃんの作品からは、気品と独創性を私は感じていた。
それに作品達はデザインを度外視しても、そもそも陶器として本当に精度の高い美しい曲線を描いていて、そこに、Rちゃんの独創性が加わって、どれも
個性豊かで美しい作品だった。
おのずと
あ、これは魚料理が合うな
これは野菜を綺麗に盛り付けたいな

自然と料理が思い浮かぶ陶器達であった。

私は相方分と合わせてぐい呑みをゲットした。
また最高な旅のお土産が一つ増えた。
そんな時間を過ごして
寝ますか!と寝たのは朝方4:00頃だった
気持ちよく寝たと思った後すぐに

【朝は来た】

車の外でKとYさんが談笑していた。
私もまだまだ眠っていたかったが、なんせ夏の日差しで車内は猛烈に暑かったので、起きて朝の挨拶をすると、Yさんが
「おはよう、昨日、音良かったわ〜」
と言ってくれて、私は朝からなんだか救われた。
Yさんは近くでサウナをやっている店主で
普段は薪でサウナをおこしているらしいが、その日は休みで、流石にサウナは厳しいが、冷泉を最近掘り当てた。という事で有り難く入らせてもらう事になった。
お店は山間だが大きい道の通り沿いにポツンとあった。中は個人的に最高にグッと来る空間で、何時間でも滞在できる雰囲気と、サウナ屋さんだからなのか、土地がそうなのか、はたまたYさんの懐の深さか、妙に【整う】場所であった。

お店の目の前はダム湖で
階段を降りて森の中に、Yさんお手製のサウナ窯と、冷泉に入れるバスタブが設置してある。
我々は1人づつゆっくり冷泉と景色を楽しませてもらった。
そして

【次なる旅路の準備が整った】

お風呂から上がって皆んなで美味しい食事を頂いて、いよいよKともここでお別れの時が来た。
何度も言うが、Kがいてくれたからこそ
私の旅は
【愉快な旅】になった。
それに
また新たなご縁も頂いて
また会いたい人達が増えた
それは何よりもな宝だ

大した事は言えないが
何より無事に、健康で、
必ずまた会おうと約束して
我々はお互いの旅路に戻った。

(そうして今、私は大分県のとある渓流に1人でいる)

私の記憶が鮮やかな内に、この何よりも美しい自然の中で、感じたままに【旅の記録】として残しておこうと思う。

私もあなたも
【まだまだ旅の途中】



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