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【わたしのジョブ・カード】7,翻弄と解放

給料遅配が一回でも発生すると、会社都合で退職することができます。
会社都合で退職すると、失業手当がかなり短い待機期間で支給されます。

船会社を退職した時も、会社都合でしたのでその時も失業手当をいただける
権利はあったのですが、すぐに就職したので手続きをしませんでした。

今回は、後先を考えず退職をしたので、失業手当をもらうことにしました。
まだ33歳。仕事はまだまだいっぱいあるわとタカをくくって、求職活動らしいこともせず、
まだ保育園に通う娘の子育てをしながら、ぶらぶらする毎日を過ごしていました。
パートに行っていた妻を駅まで娘と二人で迎えに行くことが日課になっていきました。
駅前の公園で娘を遊ばせながら、妻を待っていたことを覚えています。
今でもその公園に行けば、とても切なく、惨めな気持ちになることができます。

そうするうちに、だんだんと迫りくる手当打ち切り期限。
なんとなく焦りだしたのは、手当が打ち切られる2か月前ぐらいです。

ところが、これまた自分のやりたいことがわからない。
デザインチックな仕事をしてきたものの、デザインの勉強などもやっていないので、プロで通用する自信など全くありません。人事関係の仕事など、全く思いも浮かびません。
広告宣伝の仕事も、自分なりのなんちゃってで行っていたため、これまた全く
自信がありませんでした。

その癖、変なプライドが邪魔をしていたと思います。
どんな仕事があるのかもろくろく調べることもなく、いたずらに時が過ぎて行ったのです。

約半年が過ぎ去ろうとしていた時、以前勤めていた船会社の先輩から電話がかかってきました。
その方のお父さんが事業を立ち上げようとしているから、手伝ってほしいと。

またまた、知り合いからの声掛けです。
なんとなく、焦っていたのであまり考えることなく入ることにしました。

ところが、入社して1週間でスタッフが全員辞めてしまいます。
事業自体もとても怪しいもので、どこからお金が出ているのかわからない。
社会保険関係は一切なく、私に声をかけてくれた先輩は、途中で辞めて逃げてしまう。結果、給料も出なくなりました。

半年間、給与債権回収の為だけに出社をしていたような感じですが、結局回収できぬまま突然終わりを告げました。
妻が勤めていた会社の社長の奥さんから突然電話がかかります。
その会社社長ファミリーとは、キャンプに連れて行ってもらうなど、とても良くしてもらっていました。
その方からの突然の電話です。
九州福岡の方言丸出しで、ものすごい勢いでかかってきました。

「あんた、何んばしよっと?あんたの妻に聞いたけん電話しよっと。
そんなおかしげな会社すぐ辞めて、今すぐうちん人んとこば行きなしゃい!!!」

こちらのいう事は、全く聞いてくれませんでしたが、逆にその事で救われました。
社長は、姫路にあるパチンコ屋のコンサルティングに入っておりこの店の立て直しに行っているとのこと。
すぐに姫路に向かい、社長と合流しそのままパチンコ店の住み込み店員となりました。

ところがところが姫路で働き始めた1ヶ月後、その社長が解任され私もそこにいる理由がなくなってしまったのです。
幸か不幸か、同時に焼肉チェーンで働いていた頃の出入り業者の仕事を少しばかり手伝っていました。
そちらでしばらくの間仕事をしていたのですが、日雇いでここも収入が全く安定しません。

この時点で、普通の社会人として生きていけないかもと思い始めていました。
収入も安定せず、年金や税金もまともに納めておらず、何より自分が何ができるのか、何がしたいのか全くわからない状態。

ある日、現場に向かう車の中で悲しくもないのに、涙が止まらなくなりました。
うつになっていたのかも知れません。

色んな人に声をかけていただきました。しかし、翻弄されました。
それもこれも、自分自身が全くしっかりしていなかったからだと思います。

何をしたいのか(will)、何ができるのか(can)、何をなすべきなのか(must)
この三つで自己理解を深めます。

しかし、この頃の私は全くこれが出来ていませんでした。
自分の考えなどなく、周りの人々に言われるがまま過ごしていたように思います。

これまで、声をかけてくれることが自分自身の価値と思っていましたが、その考えを捨てることにしました。
その事で、ようやく呪縛から解き放たれた気がしています。


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