【詩】冬

悴む指先で触れるものが、同じように冬の空気で冷えきっていて、それで、枯れた枝先みたいに、折れかかった状態のまま、凍りついていたのなら、僕だけでなく、この世界のみんなみんな、等しく救われないような気がして、そのことに僕は、少しだけ救われる。温もりという言葉そのものを否定し、温もりという事象そのものを否定し、人為的なもの、その存在すべてをなかったことにして、ただ換気するように、雪風が心臓に到達する、吹き抜けるように身体をめぐる、血液が浄化されるみたいに凍結する、そうして、いつしか生温い吐息すべてが冷たい息吹に置き換わって、吹きすさぶはげしい雪と一緒に、僕たち、清潔な存在になってゆく、そういう幻想を抱かせながら、きっと冬は、ずっと僕を殺したがっていた。
 

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