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詩まとめ

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詩のまとめです。感情が滲み出てくるような詩を書きます。
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2023年3月の記事一覧

【詩】自傷の詩

自傷的に、小説を読むことしかできない
かなしい話、くるしい話ばかりほしくなって
それでも、そういう物語を読んで、
あの場面が、もしもこんな風だったら、と、あとから考えてしまうこと。
きみが
あなたはやさしいんだ、と言って
日の光みたいな温もりがあるんだ、と言って
それで
きみに死んでほしいと思っているぼくは、なりたくもないのに、やさしいひとになるしかなかった。
きみを傷つけることすらできない。

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【詩】青

正しさはきっと、綺麗な青色をしている。だからこそ、空はあんなにも青くて、透き通っているんだろう。人が人を殺そうとする、そんなときでも、名前も知らない水平線に、思わず見惚れてしまうこと、それは、海にも、その青さのぶんだけ、たくさんの正しさが溶けこんでいるということで、それで、知らないうちにわたしたち、恋をしているからだ、海に恋する、海に憧れる、つまりね、生まれたときから、死にたがってるんだよ、わたし

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【詩】走馬灯

痛い。どんな風に?と聞かれて、せつめい出来ない。似ている、ほんとうは、ただそれだけで、そのかんかくはぜったいに、それそのものなんかじゃないのに、と、そう思っても、すぐ忘れてしまうし、忘れられてしまう。それは、ぜんせで感じたものなのか、はたまた昨日感じたものなのか、果たしてそのどれに似ているのか、ぼくにはぜんぜん分からないけれど、ひっしに今までのすべてを思い起こして、ぞくぶつてきに、形容してるんだ、

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【詩】色彩

年を取って。
季節が巡り、消えてゆく間際
発熱して、発火するような気さえして、
けれど、それが、季節の創り出した温度じゃなかったこと
やっと気が付いたんだ、私も、貴方も。
心臓の色しか、知ることが出来ない。
これからも、風が吹いてゆくみたいに、私たちを、季節は取り残してゆくけれども、
それでも、
また、誰にも干渉しない風景を見つめながら、
貴方の、
貴方の、好きな絵を書いて。
幻想みたいな色彩しか

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【詩】57

これ以上ないくらい単純な言葉で、救われたかったのだ。花火が打ち上がって、そのあいだに銃殺される誰かのこと、気が付かないまま、打ち上がる花火の綺麗さばかり見つめて、視界が、万華鏡みたいに鮮烈に染まっていたから、この世界のぜんぶは代用がきかないんだと、わたしは、気持ちよく唄っていた。きみの物語なんて、どうでもいいんだよ、と、そんな感情がわたしの心のどこかにあったとしても、それが解剖されて打ち出されるこ

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【詩】硝子

世界が映る、そこには世界が映し出されている、ただ、それだけのことでしかないのに、と
朝が終わって、昼を飛び越したみたいに、いつのまにか夜になった。
綺麗であろうがなかろうが、
すべての風景は、色彩以上にはならないこと。
きっと、代わりに嵌め込まれただけの硝子細工が、この世界を最も綺麗に映し出すから、
ただ、その事実だけで、わたしは、心の綺麗さなんて無意味だと言うことができる。
解像度が低いだけで手

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