【詩】青

正しさはきっと、綺麗な青色をしている。だからこそ、空はあんなにも青くて、透き通っているんだろう。人が人を殺そうとする、そんなときでも、名前も知らない水平線に、思わず見惚れてしまうこと、それは、海にも、その青さのぶんだけ、たくさんの正しさが溶けこんでいるということで、それで、知らないうちにわたしたち、恋をしているからだ、海に恋する、海に憧れる、つまりね、生まれたときから、死にたがってるんだよ、わたしたち。わたしたちのなかに本当にあるのは、ずっとずっと、綺麗なまま死にたいっていう、そういう思いだけだった。

いつの間にか、やさしさとか、落としてきたんです、みんなみんな、わたしも含め。だって、誰にも否定されたくなんかないし、他の誰かを、ずっと否定していたいから。

そうして、神様みたいな人たちが言う「人間は美しくて尊い」という言葉によって、青はより色彩を増していった。ただの感情、ただの快楽、そんなものさえも綺麗ということになっていった。だから、きっと、真上に広がる空は、こんなにも青くて、綺麗で、穴が空いてしまいそうな顔をしている。
でもそんなこと、どうでもいい、どうでもいいんだよ。どうでもいいから、ただ、綺麗なまま死のうよ。気持ちよさのためだけに、正しさで人を否定して、どうせわたしたち、いつか海の一部になるから。



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