【詩】自傷の詩

自傷的に、小説を読むことしかできない
かなしい話、くるしい話ばかりほしくなって
それでも、そういう物語を読んで、
あの場面が、もしもこんな風だったら、と、あとから考えてしまうこと。
きみが
あなたはやさしいんだ、と言って
日の光みたいな温もりがあるんだ、と言って
それで
きみに死んでほしいと思っているぼくは、なりたくもないのに、やさしいひとになるしかなかった。
きみを傷つけることすらできない。
温い手で、ぼくは、悲劇小説のページをめくり続けている。











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