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僕が”朝井リョウ”が好きな理由

自己開示のために。

思考整理のために。

好きなものを”好きだ”って言語化して、伝える練習のために。

文章を書いてみようと思う。ままならないけどちまちま書いていく。


作家「朝井リョウ」さんを知ったのは、今から8年前くらいの就活中に読んだ「何者」がきっかけだった。「何者」は大学4年の就活生が題材で、境遇がその当時の自分とだだ被りで博多↔︎大阪間の新幹線の行きと帰りに夢中で読んだ。

通らないエントリーシート。
次に進めない一次面接。
決まらない就職活動。
内定決まった友達の報告LINE。

Twitterの裏アカ使って穿った見方で毒を吐くようなことはしなかったけど、心情はまさに主人公とリンクしてたと思う。就活のためだけに必死に積みあげたこと大げさにアピールしているのが馬鹿馬鹿しくて媚びてるみたいで、それって社会で働くのに必要なことなん?とかカッコつけてた。(そうゆうアピールできるやつが出世していくって後々知るんだけど)

そんな調子だったから当然上手く行く筈もなく。

不採用。不採用。不採用。不採用。不採用。
毎日お祈りメール。

日々、承認欲求爆下げで死にたくなってた。

そんな時に読んだ小説で、平成生まれで年齢の近い作家さんが書いた作品ってこともあって、心の何処かに”爪痕”の様に残ってたんだと思う。


それから社会人として働き出して、半鬱になりながらも何とか生活していた中で読んだのが「何様」だった。何様は「何者」のアナザーストーリーとなっており、就職後の社会人の話が観れる。

またしても当時の自分とリンクしている部分が多い作品だった。登場人物の内面の気持ちに一々抉られる。頭の中、心の隅まで覗かれて鷲掴みにされている感覚っていうのか。「何でこんなに俺のこと分かるの?」ってくらい感じていること、考えていることが言語化されている....。
″されている”というより、現在進行形で「されていく」って感覚。


「言葉に出来なかったけど、常に感じていた違和感」

を朝井さんは言葉を紡いでくれる。本当に気持ち悪くてゾクゾクする。もうこの時には朝井リョウさんの描くリアルよりもリアルな現実世界に魅了されていたんだと思う。


その後はとにかく作家「朝井リョウ」が描く世界に没頭したくて、とにかく朝井さんの作品を手に取っては読み漁った。

「スペードの3」で、2つの世界で飲まれていく女性の世界を。

「少女は卒業しない」で、少女たち青春の一ページを。

「ままならないないから私とあなた」で、価値観に問いかける2つの物語を。

「チア男子!!」で、男子大学生たちの熱いチアリーディングの世界を。

「もういちど生まれる」で、若者たちの苦悩と葛藤の世界を。

「世界地図の下書き」で、施設の少年少女の未来を描く世界を。

「星やどりの声」で、6人兄弟の亡くした父から卒業していく世界を。

「武道館」で、現代社会をアイドル側から見た世界を。

「桐島、部活やめるってよ」で、高校生の階級制度を映し出す今の世界を。

「世にも奇妙な君物語」で、朝井リョウ版世にも奇妙な物語の世界を。

「死にがいを求めて生きているの」で、生きがいと葛藤する人々の世界を。

「どうしても生きている」で鬱屈を抱えて生きる現代人の世界を。

「スター」で、時代の変化が作り手にもたらす変革の世界を。

そして「正欲」で、想像と寛容を超えた″多様性″の世界を。



僕たちのリアルな生活と、その裏で感じる緩い閉塞感でぐるぐるに縛られていく。なんて身を削った作品を描く人なんだと。「どんな人が書いてるんやろうか。」興味が止まらなかったから、エッセイを読み、インタビュー記事を読み、ラジオを聴いた。


なにこの面白い人!!!!!!!!


好奇心旺盛でユーモラスでおしゃべり好きでちょこっとクレイジーな普通の男性。

僕らの心の奥にある黒くて鈍い感情を、的確にあぶり出すようなエグい文章書く人とは全く思えない。ギャップ萌えとはこのことかと。

朝井さんの発言とか言葉で、影響を受けているのは、

エッセイ「風と共にゆとりぬ」の”能動的成長期” と、
ラジオ「ヨブンなこと」で語った”結婚感”である。

こちらが何かするわけでもなく訪れてくれた受動的な成長期が終わった今、必要か不要かなんてとりあえず置いておいて、能動的に何かしらの初体験に手を伸ばすことでしか自分の輪郭は変わっていかない。

風と共にゆとりぬ P241

私たちは、今の時代をお互いに健康的に生き抜くために手を組んだって感じなんですよ。

高橋みなみと朝井リョウ ヨブンのこと 2018年2月4日放送回


この言葉たちが今の自分の主軸になっている。


朝井さんの″作品″が、
朝井さんの″言葉″が、
朝井さんの″行動″が、
朝井さんの″考え″が、
たまらなく好きだ。

朝井さん。
僕もあなたのように誰かの心に残るものを与えられる人になれるでしょうか。 

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