どいる
掌編小説集です!
中編小説です
ド、ド、ド、ド、ド。 およそ一週間前だった。ピアノの音が部屋の空気を揺らすようになったのは。迷惑、と感じるくらいに強い音ではない、シャボン玉のような丸いもの…
わたしは壁と一体化するのが得意である。さて、どういうときに壁になるのかと言えば、例えば妻と娘がつまらぬ言い争いをしているとき、社内でなにやら火の粉を食らったと…
しーちゃんは、よしじゃあ水着買いにいこう、と言って立ちあがる。そのときに、しーちゃんの服についたかみが床にぱらぱら落ちていく。床をよくみると、数はおおくないけ…
こんにちは。どいるです。 名前の由来はコナンドイルのドイルです。 シャーロックホームズ好きです。 シャーロックホームズになりたくて、心理学を読み漁っていた時期があ…
明日は一日水に浮かぶ日なんだよ、て、いきなりしーちゃんが言った。しーちゃんは、顔の前に顔だけが映るくらいのちょうどいい大きさの鏡おいて、まえがみ切ってる。刃が…
2024年7月2日 16:05
ド、ド、ド、ド、ド。 およそ一週間前だった。ピアノの音が部屋の空気を揺らすようになったのは。迷惑、と感じるくらいに強い音ではない、シャボン玉のような丸いものに包まれたように優しい音で、つい耳を傾けてしまう。 ド、ド、ド、ド、ド。絶対に“ド”以外の音が鳴らされることはない。同じ音を連打しているだけのそれは、はたして音楽と言えるのだろうか、と考えていると、今日もまた、ド、ド、ド、ド、ド、と聴こ
2024年7月2日 15:58
わたしは壁と一体化するのが得意である。さて、どういうときに壁になるのかと言えば、例えば妻と娘がつまらぬ言い争いをしているとき、社内でなにやら火の粉を食らったとき、街中で不審者が平和をぶっ壊しているとき、わたしは壁に身体をぴたりと寄せ、壁の一部になる。壁はわたしを吸収し、わたしは壁の内部に入る。壁になっている間、わたしはわたしという存在を手放し、壁という生命を身体に吹き込まれる。壁の中に入ったわた
2024年6月4日 07:10
しーちゃんは、よしじゃあ水着買いにいこう、と言って立ちあがる。そのときに、しーちゃんの服についたかみが床にぱらぱら落ちていく。床をよくみると、数はおおくないけれど切られたかみがそこら中に散らばっている。そのひとつが鼻にはいったのか、むずむずしてきてくしゃみがでた。多分そのくしゃみで、ごみと化したかみがさっと動いた。 しーちゃんは掃除機持ってきて、それらを一気に吸いあげる。みていると、掃除機が通
2024年6月3日 08:53
こんにちは。どいるです。名前の由来はコナンドイルのドイルです。シャーロックホームズ好きです。シャーロックホームズになりたくて、心理学を読み漁っていた時期がありましたが、近づけたかどうかは謎のまま……。心理学のほかに哲学も好きです。というか、いろいろ好きです。大学での専門は芸術文化でした。ほかに好きなものとしては挙げられるのは☑️耳をすませば☑️学園アリス☑️ラフマニノフ☑
2024年6月3日 07:54
明日は一日水に浮かぶ日なんだよ、て、いきなりしーちゃんが言った。しーちゃんは、顔の前に顔だけが映るくらいのちょうどいい大きさの鏡おいて、まえがみ切ってる。刃がぎざぎざになってるはさみ使って、なれた手つきでちょきんちょきん、うわあ、短すぎたかな? って言ってくるしーちゃんのまえがみみてみると、ちょうどまゆげと同じラインの長さになっていて「ちょうどいいと思うよ」 と返すと「そう? でもさ、まえ