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電車のなかで


 主に朝の通勤だ。
 毎日のルーティンの一つになっている。
 終わらなければお昼の時間に。
 それでも終わらなければ、帰りの電車で。
 思っていたよりも長ければ、家まで歩いて。
 お風呂まで引っ張り続けることもある。
 気持ちよく気分を変えることもあれば、
 眠りにつくまで興奮していることもある。
 毎日だけれども、わずかに世界が違って見えるから
 今日もまた読む。


2月28日日 蜂本みさ「遊びの国のモシカたち(仮)」

 まだ冒頭だけなので、ここからどうなるのか楽しみ。


2月27日月 石川宗生 うたう蜘蛛

 こんなに誰かに夢中になったことはなかった

 厳しい規範に覆われている人程、破滅的になれる瞬間を求めてやまないのだと。
 迸っていった先に何があるのか。



2月26日日 グレッグ・イーガン しあわせの理由

 ぼくはその過程を、ほんの少し具体的に意識せずにはいられないだけだ。

 色んな選択肢を前にして勝手に取捨選択をしている。その勝手にする方法の根拠には、遺伝と環境がある。それを数字化して機械的に操れるとして、一体何がしっくりさせてくれるのか? 最後の景色は、自分らしい景色だった。



2月25日土 お休み


2月24日金  グレッグ・イーガン 適切な愛

 隷属の一形態を打ち破ったあたしには、その作業を繰りかえすのも、それと同じ束縛が別の見かけを装っているのを見破るのも、ごくたやすいことになっていた。

 だだ純粋に感じることができていれば良かったのに、一つのことを否定したとき、他のことについても考えずにはいられない。果たして目の前の存在は似て非なる存在かどうか。



2月23日木 春野萌 会いたい人

 鮮烈なオレンジの中で僕たちはまたバスに乗って肩を並べる

 帰途で出会った二人はそれぞれ帰りたくなかった二人だ。二人だから過去に触れて現実へと帰ることができる。


2月22日水 寝不足でお休み💤


2月21日火 斜線堂有紀 回樹 

そして、種が言葉。(略)肝心の果実が愛だ。

 言葉のその意味を問うてくる。「愛」ってなんだ。「好き」ってなんだ。それぞれの関係にそれぞれの意味がある。


2月20日月 小川一水 未明のシンビオシス

生き残る仕組みあるものが生き残るという、ごく当たり前の話だな。

 生き残り術の捉え方が面白い。そうならない可能性も含まれているとしたら嬉しい。
 どういう力点で書いて騙すか。2度読んで楽しい。


2月19日日 サラ・ピンスカー 記憶が戻る日

 ほかの日にはいつも、車椅子も火傷痕もママの一部だ。

 誰にとっても特別な日。はっきりとは語られないなかに、触れにくい思いがあること。
 関連することを全てなら、覚えていられることがあるのか、もう一歩踏み込んでいくとそれはまた別の耐えられないことになるからか?


2月18日土 お休み


2月17日金 長谷川京「極道會襲名式〈ヤクザバース・トランザクション〉」

「おう、血判ハンコやな」
「あ、はい。『電子証明ハンコ』ですね」

  王道と遊びの配分がいい。言葉で遊ぶ感覚は、文化圏が遠すぎても近すぎてもいけない。跳ねるところは跳ね、落とすところは落とす。その踏み切りが怖くもある。


2月16日木 お休み


2月15日水 伴名練 二〇〇〇一周目のジャンヌ・ダルク 

 好きな一文を探すのだけど、これは構成美だと思った。出来事の連鎖、思惑と失望、終わり見えない宿命。いくら展開で遊び尽くしても、終わりは王道で締めてくる安定感。そして深い思考。うっとりするifの世界だった。




2月14日火 山尾悠子 月蝕

「十一の夏か」

 この言葉の意味が掴みきれなくて引っかかっている。どうして愕然とするのか知りたい。


2月13日月 サラ・ピンスカー そしてわれらは暗闇の中

子供たちの海へのダイビング

 現実から遠く。ただ自分の欠落を癒すために。
 癒しで終わっているのは、皆読後は現実に戻るから。 
 ここの中だけでも遠く遠く海を眺めていたい。

2月12日日 フレドリック・ブラウン 最後の火星人

 このころには、ずいぶん人間らしくなってきていた。

 どちらにも取れるけど、そう読ませてしまう書き方ってある。
 当たり前を見せつつ、その裏側を見せる時がきっと楽しい。



2月11日土 阿部屠龍「父のある静物」

https://virtualgorillaplus.com/stories/chichinoaruseibutu/


ここは父の取り戻したかった未来でも、わたしの目指した過去でもない。

 まさに「果樹園SF」。一文一文が息をしている。何を伝えて何を伝えないのかを知っている文章だ。
 父の代から続くしがらみが、子の代によって解されてる。
 この満ち足りた気持ちとはなんだろう。



2月10日金 フレドリック・ブラウン 存在の檻 Entity Trap

 外来者は肉体的な檻よりさらに狭い檻に進んで入り込んでいった

 檻に閉じ込められて、そのものになってしまう暴力。
 この力をどう具現化するかで、悪魔になったり、超能力になったりするんだろうな。



2月9日木 おやすみ 
 大奥の沼にハマる。かっこすぎる。滝山が好き。



2月8日水 宮澤伊織 ときときチャンネル#2【時間飼ってみた】

ゲリラ配信、開始しました、でURL貼って、と。

 言葉を使って遊んでいる。いいなあ、このユーモアの感覚。
 配信って言葉が変化したら、どんな風に読めるのか。
 何年後にまた読み直してみたい。 


2月7日火 相川英輔「愛の証明」

 この島に閉じ込められたまま死ぬよりずっとマシだ。

 するすると読めてしまうので気づかない。愛を知らない二人の愛し方なのだとわかると、それを選んだ思いの強さも相当なものなのだ。



2月6日月 小田雅久仁 ラムディアンズ・キューブ 


人肌の宇宙に包みこまれてゆくようだ


 導くためとはいえ、神が儀式を模倣して自己生産しているのは、人類にとっていい迷惑だ。
 日常を無慈悲に切りつけていく神の意味不明のままでよかった。


2月5日日 お休み
 家事を一通り。100分で名著フェミニズムを聞く。良き。


2月4日土 お休み
 一日中布団の中。光のお父さんを一気見。ゲームは見る専なので楽しかった。


2月3日金 お休み
 謎の悪寒に苦しむ。熱はない。


2月2日木 稲田一声 印刷物一覧

やあ、僕を印刷してくれてありがとう

 ハイテクなのかアナログなのか、チグハグなユーモラス。
 儀式は違えど、案外いつの時代もこんな感覚で降ろしたり降ろされたりするのかもしれない。


2月1日水 松樹凛 射手座の香る夏

 今、彼女の身体からこぼれているのは、惜別と郷愁の匂いだった。

  ひとつひとつの言葉がやさしくてきれいだ。
  誰かを傷つけるようなことばさえも、許してしまえる。
  匂いに惹かれることがある。
  その匂いは、決して忘れることがない。
  原初的な知覚が、刻みつけるからなのだ。

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