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『作曲する女たち:20世紀アメリカを駆け抜けた10人』 発売開始! Ten Women Composers of 20th Century America

葉っぱの坑夫から『作曲する女たち:20世紀アメリカを駆け抜けた10人』が発売になりました。noteで今年2月まで連載していた作品をペーパーバックとKindleによりパッケージ化したものです。
ペーパーバック:¥1,320(税込)
Kindle版 ¥550(税込) 
127 × 203mm、135頁
*この記事末にもくじがあります。
タイトル写真:本書(校正本のため「再販禁止」帯が入っている)と原著

前半が19世紀生まれの作曲家たち(5人)で、女性が作曲のジャンルに登場し始めた時代の草分け的な人々です。アメリカの音楽家評伝作家、マデリーン・ゴスによる "Modern Music-Makers: Contemporary American Composers"(1952)から抜粋・翻訳したものを収録しました。

後半は20世紀生まれの現在も活躍する作曲家を含むインタビューです。シカゴのクラシック音楽専門局の元ブロードキャスターであるブルース・ダフィー氏のサイトBruce Duffie Interviews から、許可を得て抜粋・翻訳したものを集めました。(5人)

いまどき「女性」という属性で物事を捉えるのはどうなのか、という視点をもちつつも、なぜ女性には作曲家や指揮者、あるいは建築家が(いまだに)少ないのかを考える手掛かりにもしたいと考えて進めました。

文章を書いたりその他のジャンルで創作をしている人にとっても、意味あるものになるよう、翻訳・編集をしたつもりです。

この本に収録されているインタビューの中から、印象的な発言をいくつか紹介します。

オーガスタ・リード・トーマス(インタビュー当時、29歳)
◎どのようにして創造的なアーティストになるかと言えば、自己表現への欲求があってこそだと思います。 ただそのことの中には、自己理解への欲求があって、そんな場所が自分の中にあるとは知らなかったところを発見したりもする。
◎財政面や時間的な問題などいろいろ厳しいし大変ですが、作曲することを愛してます。たくさんの労働が求められますけど、私は完璧に幸せです。少しも変えたくない、ただただ好きだし、だから本当にラッキーだと思います。

オーガスタ・リード・トーマス(作曲家かどうか、決めるのは自分)

ジェニファー・ヒグドン(インタビュー当時、41歳)
◎ある時、私はフルートを手にとり、自分で吹く練習を始めました。(中略)私は15歳で、独習を始めたわけです。ですから音楽の指導というものを受けたことがなかった。18歳でカレッジに入ったとき、ベートーヴェンの交響曲を知りませんでした。
◎弟が亡くなってから数年間、作曲をすることが一番の癒しでした。それを自己療法のように言うこともできるでしょう。(中略)当時、私は弟のための曲をたくさん書きました。書くことで自分は救われたと思います。ですから一種の自己分析と言えるかもしれない、そんな風に作品を書くことがね。

ジェニファー・ヒグドン(ロックを聴いて育った)

タニア・レオン(インタビュー当時、48歳)
◎カメレオンのように変身すること。生き延びるためではなくて、私たちの内には進化のプロセスがあることを理解するためです。(中略)私にとって政治は少し停滞したもので、進化しようとする私を窒息させてしまいます。
◎いくつかのスケッチに共通点があると、自分が何かを探しているのかなと。引き出しを開けてたくさんのものが中にあるとき、自分の本当に欲しいものを一つ、そこから見つける、という。

タニア・レオン(世界を見たくてキューバを離れた)

ヴィヴィアン・ファイン(インタビュー当時、73歳)
◎インスピレーションやアイディアをどうやって得るかを教えることはできません。でも何がいいアイディアかを認識させることで、生徒を手助けできます。作曲を始めたばかりの学生は、良いアイディアをもっていても、それが良いアイディアかどうかの判断がつきません。
◎(作曲は楽しいかと訊かれて)心の底から、大きな喜びを感じています。私の心を全面的に集中させるだた一つの活動です。作曲しているときには、他のことは何も頭にありません。そしてこの極度の集中というものが、究極の喜びをもたらします。

ヴィヴィアン・ファイン(よくできた曲はあまり面白くない)

エレン・ターフィ・ツウィリッヒ(インタビュー当時、46歳)
◎ピューリッツァー賞を受賞した最初の女性ということで、より多くの人に知ってもらうことができました。それはいいことです。ただそれが私たちのやっていることの本質ではない、ということです。
◎音楽は生きているアートです、人生というのはいつもキチキチ整然としているわけではありません。人は音楽を演奏するよう、音楽をつくるよう背中を押されるべきで、それがいつも最高レベルである必要はありません。

エレン・ターフィ・ツウィリッヒ(音楽には浅いレベル、深いレベル両方必要)

いかがでしたでしょうか。作曲に限らず、音楽でなくとも、創作という意味で、インスピレーションを得られるものがあったなら、と思って引用してみました。

本になったものは、全体を構成し直し、いくつかの修正も加えています。noteの連載で読んでみたい方は以下のマガジンで、全編読むことができます。

また、この本を作る際の経過のできごとについては、こちらに記事があります。

もくじ

「作曲する女たち」プロジェクトについて
小評伝の著者、マデリーン・ゴスについて

【小評伝】 作曲する女たち(19世紀生まれ)     
著者:マデリーン・ゴス
⓵テキサスのカウガール
 ラディ・ブリテン
⓶歌が唯一の楽器だった
 メイベル・ダニエルズ
⓷初めての学校は子育ての後
 メアリー・ハウ
⓸1000人の大合唱団を率いて
 ジーナ・ブランスコム
⓹ブーランジェ姉妹と交換教授
 マリオン・バウアー

インタビュアーのブルース・ダフィーについて
【インタビュー】 作曲する女たち(20世紀生まれ)
インタビュアー:ブルース・ダフィー
⓵作曲家かどうか、決めるのは自分
 オーガスタ・リード・トーマス
⓶ロックを聴いて育った
 ジェニファー・ヒグドン
⓷世界を見たくてキューバを離れた
 タニア・レオン
⓸よくできた曲はあまり面白くない
 ヴィヴィアン・ファイン
⓹音楽には浅いレベル、深いレベル両方必要
 エレン・ターフィ・ツウィリッ

『作曲する女たち:20世紀アメリカを駆け抜けた10人』


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