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【現代詩】成人式を越えてゆくきみへ

今日はきみが輝く日だったね
今にもそっと零れ落ちそうな
細くてやわらかなきみの命が
煌びやかな光を放つ日だったね

温めていた思いが破れ
きみは涙にくれているの
まばゆい希望を託した晴れ着
今はたんすにひっそりと

カシミヤのピンクのストール
きみの笑顔を甘く包んでた
だからさわやかな白いショール
きっときみに似合っていたはずさ

大人の入り口だからと
いつも強がるきみが選んだ
澄んだライトグリーンの振袖
芽生えのときは叶わずに

ぼくの心にそよ風連れて
砂塵をなびかせ去っていくきみ
揺れる瞳を抱きしめたくて
待ちくたびれた今日という日

黄昏に咲く一番星のように
ひときわ光るきみでいたはず
きみに寄り添う二番星がぼく
夜の静寂にともにいたいよ

ぼくがそれほど夢見た舞台は
銀河の彼方へ消えてしまった
ぼくの気持ちはきみは知らない
きみはきみのためだけに泣いて

大人の扉を開けた日は
きみは悲しみ色を彩ったね
涙はぼくに預けていいから
喜びが待つあの橋をわたって




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