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私たちが楽器が上手くなる理由には2つあってだな(1)

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上達

学生で社会人であれプロであれアマチュアであれ、音楽は続けることで経験を積み、程度の差はあれ、それなりに習熟する。

コンスタントに続けても、不思議なことに上達は均等ではなく比較的不連続なブレークスルーの繰り返し。
RPGのレベルアップの概念はよくできてる。
あれがリアルに近いと思う。

短期間に飛躍する人の謎

そんなに時間を割けるはずもない社会人で、短期間にメキメキ上手くなっている人、たまにいます。
この場合、音楽に没頭しているのは大前提だが「音楽」の時間以外が上達の理由になっていることがよくある。

上手くなりたいと思って練習をする。ただそれだけ。
……こんなシンプルな理由では、社会人は音楽に没頭できない。

いろいろ忙しい時間を調整して、可処分時間をひねり出し、音楽に従事するには、それなりの理由を必要とする。

よくあるのが「音楽に向き合わざるを得ない」みたいなパターン。
音楽に引っ張られているのか、押し出されて居場所を探して音楽をやらざるをえないのか。

例えば、仕事の壁にぶち当たっているとか、逆に干されて暇だとか。
家族やパートナー、人間関係に深刻な問題を抱えているとか。
身も蓋もなくいえば、アイデンティティークライシスみたいなもの。
音楽のきっかけが恋愛、もよくあるパターン。
彼氏の趣味で聴く音楽が変わるというのは女子あるあるですよね。
また、アラサーくらいのOLが自分探しの果てにジャズに行き着く、みたいなパターンもよくある。ボーカルの人とか多いですよね(棒読み)。

黒理由

このように、音楽の上達における「白理由=音楽が好き」の背後に、その人が音楽に向かわざるを得ない「黒理由」が存在することがある。

プロの場合はそういう「こじらせ」はアマに比べて少ない。
プロのハードルって全然シビアで、「居場所を求めて」くらいの動機ではプロになんかなれないから。

もちろん第一歩踏み出すきっかけにそういう経緯はあるかもしれない。
が、それだけでプロへの長い道を歩むのは無理だ。
逆に言えば、プロというのはそういう「黒理由」だけではなく音楽そのものに強烈にコミットする「白理由」の強度が必要なのだ。
だからプロはすごいのだと思う。

そういうプロ、もしくは高等遊民以外は音楽に没頭する背景には何らかの「こじらせ」があると思う。
表向きの「白理由」の背後に「黒理由」が透けて見えてしまうことは時にあって、その切実さは、時にイタい。
しかし不退転さが凄みや重みとなって出ることもある。

その凄みや重みをうまく使いこなせるかはその人次第。
重みは、使いようによっていい風にも悪い風にも作用する。

「黒理由」を自覚したほうがいいのか

黒理由・黒歴史は心のトラウマ。
普段は抑圧している負の思い出。
棚卸しされることのない感情の澱そのもの。

もし自分の行動原理に非合理さがある場合、こうした「黒歴史」が無意識下に影響を及ぼしていることがある。
何故か好きになれないミュージシャン。記憶を掘り起こしてみると、大嫌いな先輩が褒めちぎっていたから、だったり。

「黒歴史」を言語化し分析できれば、無意識下に追いやった非合理な感情を解きほぐせるかもしれない。
また、黒歴史による好悪は多くの場合「クローズド・マインド」になりがちである。オープン・マインドの方が幸福だし、上達しやすいマインドセットだと思います。

プロでも一流の人は例外なく「オープン・マインド」だったりするんですけど、黒歴史・黒理由の比率が相対的に低いからなのかもしれない。
要するに音楽の純度が高い=屈託なく音楽をする=黒理由が少ない
ということなんだろうと思う。

バンドとの関わりにおいて

音楽活動を続けていると、同じバンドメンバーではないにしろ共演歴が長く、知り合い以上の存在のミュージシャンがいますよね。

そういう人には自分の悩みを打ち明けたり、打ち明けられたり。
しんどい時も知ってる友人ミュージシャンは「黒歴史」の部分も当然知っている。そういう存在は、腐れ縁というか、半分家族というか、単なるバンドメンバー以上の意味があります。

黒理由は、触れる時に痛みを伴います。
誰にでも開陳するものではない。
そういうものを誰にでもペラペラ喋る必要はないのです。

でも、それを知らない人に黒歴史を忖度させるのは間違っています。
非合理でイタい部分=「黒理由」をも共有している関係の深い友人には、ある程度の「甘え」が許されるのかもしれない。
ただ自分の「黒理由」を知らないメンバーには、その黒理由なしの社会人として節度ある言動と行動が求められる。弱みをみせていない人には、弱みからくる非合理な行動を見せていいはずがない。

まとめ

  • ジャズをする動機としてプッシュ型とプル型の理由がある。

  • ジャズをやらざるをえない「黒理由」があるのかも。

  • 黒理由を自覚し、場合によっては成仏させたほうが、よりオープンマインドになれるかもしれない。

  • 黒理由を告げていない人間に、黒理由からくる非合理な行動を見せては行けない。



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