橋本治の後期雑文を読む10
『演劇界』2013年11月号特集:江戸の名優怪優より「江戸の役者に憧れて 大太夫半四郎」
鶴屋南北の台帳を読んでいると、魅力的な役者だらけでうっとりする。下端の役者に至るまで、南北が個性をつかまえて役に活かしているので、読み慣れると声が聞こえて仕草まで見えるような気がする。
南北の書いた文化文政期の役者達の中で、特に好きな役者は二人いる。一人は「名人」と言われた二世関三十郎で、もう一人は「大太夫」と言われた五世岩井半四郎。
関三十郎は地味な人だからそんなに知名度はないだろうけ