一斉授業限界説。
最近、少しずつですがGLSにもご相談が届くようになったJUNです!
やはり、子育ての悩みというのは多種多様です。さらに、先が見えなかったり、すぐに改善したりするものではありません。相談を受けている僕自身、十数年間の教員生活と現在進行形の子育て経験+本などの媒体から得た情報でしかエビデンスはありません。
しっくりくるアドバイスができるかと言えば努力しないといけない点は多々ありますが、親御さんがの家庭での悩みを打ち明けられる場所。我が子を「みんな」で育てていけるような環境づくりは、これから先もっと重要になってくると思います。
そんなもっと「社会で子育て」できる時代の到来を望みつつ、実践を積み重ねていこうと思う今日この頃、「なぜ、教育現場では十分な子どもの支援ができないのか。」ということについて「まさに!」という情報を見つけましたので、記事とさせていただきます。
▶一斉授業が成立しない教育現場。
その情報を見つけたのは、「自閉症スペクトラム 10人に1人が抱える『生きずらさ』の正体」著:本田 秀夫(SB新書)です。
題名の通り、自閉症スペクトラムについて有力な情報が書かれているのですが、その中に、
「一般の子どもたちが一斉授業を問題なく受けることができるのは、授業内容にある程度の興味を持てることと、『同じことでも一人でやるより皆で一緒にやるほうが楽しい』という価値観を持っているから。」
という記述がありました。
確かに1人の教師が40人近い子どもたちへ向かって授業をする「一斉授業」が学校の一般的なスタイルだと考えられているでしょう。
しかし、ずいぶん前からこのスタイルは成立していないのが現状です。辛い現実を吐露すれば、「授業に対して少しも興味もっていない子どもや友達と自分の考えをシェアなんてしたくない」と思っている子どもが増加しているように感じるのです。
その理由が、
「子どものニーズの多様性に教師が応えられなかった結果。」
なのではないかと思うのです。
もちろん発達障害をもった子どももいますし、低学力により個別支援が必要な子どももいます。また、深夜までみっちり学習に励むことで獲得した学力とは裏腹に、体調・心理面の不調を訴える子どももいます。
このような40人が入り混じった学級で一斉授業をする場合、果たしてどのような目標を設定して授業を組み立てれば良いのでしょうか。
▶子どものニーズに応える授業。
「自閉症スペクトラム 10人に1人が抱える『生きずらさ』の正体」著:本田 秀夫(SB新書)には、障害のある子どもに対する学校教育の配慮の仕方を3通り紹介しています。障害のあるなしに関わらず、全ての子どもたちに言えることだと思うので紹介します。
①通常のカリキュラムを進める「無配慮」
②通常よりも課題の負荷を下げる「低負荷型配慮」
③障害に対する治療的行為をカリキュラムに組み込む「特異的治療型配慮」
この3通りの授業スタイルが掲載されていて、現実的にどの教師も実践しているのは、②の「低負荷型配慮」です。
例えば、算数の「小数のわり算」を学習する際。本来であれば、当該学年の内容から導入していけば良いところを、学習が身についていない子どもに配慮して「かけ算」から復習するような場合があります。
いやいや、「かけ算」は戻りすぎでしょ!というご意見もあるかと思いますが、
「学級の全員ができる学習からスタートしたい!」
「学級の全員に『僕もできそうだ!』と思ってもらいたい!」
という願いを込めてスタートするには、必要なところまでどこまででも戻って復習します。何といっても「無理。」「できない。」が、学習効率を阻害する一番の敵なのですから。
このような「低負荷型配慮」により、全体の算数熱は若干盛り上がる感はあります。しかし、ここで新たな問題が起きるのです。何か分かりますか?
それは、
「みっちり学習チームの知的好奇心を満たせない。」
という問題です。
彼らにとって簡単な問題をゆっくり解説しながら進んでいく一斉授業ほど退屈極まりないものはありません。手持無沙汰になったみっちりさんたちは、次第に集中力を失い、授業から離脱していくのです。
このように、自閉症スペクトラムをもつ子どもへの配慮が必要なように、子ども一人ひとりにも配慮が必要なのですが、それを満たせていないのが、現在の現場です。
そして、この状況が、最悪の事態を引き起こします。
▶一斉授業の限界による結末。
現在の教育現場は、日々新たな問題に接しています。言ってみれば退屈しないとも言えますが、僕のように適当に受け流せないことによる結末は悲惨です。
多くの教師は、「目の前の子どもに力をつけたい!」というモチベーションで働いています。
しかし、実際の現場は甘いものではなく、どれだけ教師が教材研究をして詳細な準備をしたとしても、思い通りにいかない壁があります。
そして、その「うまくいかなさ。」「自分の思い描いていたものとのギャップ。」を気にすれば気にするほど、心を病んでしまうのです。
▶限界を突破するための考え方。
現実問題、今のような教育環境では、これまで書いてきた問題を解消することはできません。
そうです、「一斉授業」なんてしていては、子どものニーズに応えることは一生できません。
もっと、子どものニーズに合わせたカリキュラム編成や授業スタイルを提供しなければ「本当の学習の楽しさ」を学校で提供することはできません。
しかし、そのような状態になる見通しは全く立っていないので、夢物語を語っていても解決しません。そこで、現実的な考え方として、
①グループで解決する授業スタイルの充実。
②学び方選択制。
③「あの子」に焦点化した授業提供。
が、子どもたちも教師も救うカギになるのではと考えます。
▶まとめ。
まとめと書きながら、まとめではないのですが、大分文字数も多くなってきてしまいましたのでここら辺で終了としたいと思います。
子どもたちのニーズになるべく応えることができる「授業づくり①②③」は、次回とさせていただきますので、ぜひ読んでください!!
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